夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

トランプ氏、テロリストに撃たれる

2024年07月15日 | 国家論

 

トランプ氏、テロリストに撃たれる

 

今日のいつ頃だったか、ネットを見ていて、アメリカの元大統領で、この秋に再び現職のバイデン大統領を相手に再選を目指して選挙キャンペーンを行なっていたトランプ氏が、テロリストに銃撃されたというニュースが目に入った。

気になって検索してみると、耳から顔にかけて血を流しながら、シークレットサービスに取り巻かれているトランプ氏の写真が、誰かのツイッター(X)の中に上げられていた。さらに調べてみるとすぐに、同じ場面の映像のある動画で、トランプ氏が拳を上げながら、シークレットサービスに覆い隠されるように囲まれながら、そのままSUV車に押し込まれるように画面から見えなくなった。

この動画を見た限りでは、トランプ氏の命に別状はなさそうだった。先週にはテロリストに暗殺された我が国の安倍晋三元首相の三回忌が営まれたばかりだった。今は亡き安倍晋三氏もトランプ氏も、多くの敵対者を抱えていたことは知っていた。安倍晋三氏については、個人的にはどちらかと言えば「消極的な支持」という立場だったが、安倍晋三氏は「愛国者」であるとは思っていた。

この度危うく頭蓋を撃ち抜かれそうになったところを奇跡的に助かった元大統領のトランプ氏も、アメリカファーストと愛国者(パトリオットpatriot)を唱え、赤い帽子をかぶって、この日も「Make America Great Again」を唱えていたはずである。

トランプ氏の思想信条を知るには、氏が現職の大統領である時に国連で演説した時のスピーチがもっとも適当であるとかねて思っていた。ここで久しぶりにトランプ氏の政治的な信条を再確認するためにも、YOUTUBE に残っていた動画をこのブログにも記録して、できれば日本国民の一人でも多くの人に知ってほしいと思った。

トランプ氏はアメリカの次期大統領候補として有力であり、秋のアメリカ大統領選挙にもしトランプ氏が選出されれば、氏の外交方針は国際情勢に大きな変化をもたらし、我が国にも、もちろん改めてその適切な対応が求められるはずだからである。トランプ氏は「アメリカ第一主義アメリカファースト」を唱え、これまでもその同盟国に対しても自力防衛のための軍事費の負担増を求めてきた。

トランプ氏の国連演説の内容については、動画の字幕同時翻訳か文字起こし機能を使えば、そのおおよそのところは把握できると思う。

President Trump addresses U.N. General Assembly - FULL SPEECH (C-SPAN)

 

トランプ氏の政治思想の核心は、「国民国家の尊重」もしくは、その擁護にある。この政治的な立場は、反国家主義の立場にある人々からは、反感を買う。とくに社会主義、共産主義は「労働者は祖国をもたない」と主張する国際主義でもあるから、そうした政治的な信条をもつ人々からは憎しみを買う場合が多いようである。射殺されたテロリスト犯も、おそらく、そうした政治的な信条をもってトランプ氏を憎んだのだろう。

また、その一方で、GAFAと称される、Google社 やApple社、Microsoft、Facebookを運営するMeta社など、巨大な国際的な大企業は、その企業運営はグローバリズムとして、また社会主義や共産主義とは異なった立場から、国民国家の立場とは矛盾する場合が多い。

要は、「国民国家」を支持するのか、その伝統、文化、民族的な生活様式などを大切に保守していこうとするのか、それとも、反国家の国際主義か、グローバリズムの立場に立つのか、それによってそれぞれの政治的な立場は異なってくる。しかし、いずれの政治的、思想的な立場に立つにせよ、トランプ氏の暗殺を狙ったこの二〇歳の青年のように、暴力をもって異なる政治的思想的信条をもつ者の口を封じようとするのは、自由と民主主義に反する。

我が国においては、戦前から今日にたるまで、学界、大学アカデミズム、マスメディアは、とくにマルクス主義の、すなわち共産主義の影響を深刻に受けており、そうした環境で教育を受けた若者、青年たちは、国家主義者らに対してはいうまでもなく、たんなる「国民国家」への愛国者に対しても、嫌悪や憎悪といった感情、偏見をもつ場合が多いようだ。二年前に安倍晋三元首相を暗殺したテロリスト青年も、おそらくそうした一人だったのだろう。

 

 


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