玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

夏水浴する幼児の傍で

2007年01月25日 | ねったぼのつぶやき

 雨の降らない限り昼前の小一時間は散歩をする。それが私の手伝っているグループの日課である。多くのご老人は家では閉じこもりがちである。とりわけ冬はそうだろう。「いいねエ~」と言う人あり。「また~」と眉根を寄せる人もいる。その違いはデイケアーに参加する頻度によろうか。

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 私の足なら10分もかからない運動公園まで、利用者さんと職員は1対1の割合で会話しながら、道並の家や草花を見遣ったり、公園の季節の移り変わりを肌で感じたりしながらユックリ歩く。公園に着いたら常連の先客と挨拶を交わし、飴玉をなめ、持参した暖かいお茶を少し飲んでラジオ体操をする。夏なら噴水や子供の水浴びを愛でることもできる。(噴水の左側に休憩用のベンチ設置アリ)

 昨年の夏、90才前後の一老婦人に対して私はある試みをした。彼女は低血圧と四肢末端の循環不全と心不全があった。デイサービスに参加してもダルイと言って横になられていることが多かったが、車椅子に乗っての散歩は気分転換と喫煙できることで好まれた。禁止されている「ハトへの餌やり」も彼女の慰みだった。食欲はあって良く召し上がっていたが長期通所はムリと予感された。

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 ある日休憩中に「銭湯に行きたいなぁ~」とつぶやかれた。到底叶わぬことであったが「足湯」に変わる「足水」なら可能だった。子供達が水浴びしてさんざめいている傍らに車椅子を引き寄せ靴、靴下をとり素足をさらした。「あ~いい気持ち!!」と声を上げ天を仰いで満足そうな表情をされた。それから2ヶ月たたぬ体育の日に1人住まいの彼女は脳卒中を起こしていて1週間後に帰らぬ人になった。アメリカにただ1人いらした息子さんとも何年ぶりかでじきに会える筈で心待ちにされいたが、その直前の出来事で息子さんは葬式にすら間に合わなかった。(壁面から水が滝状に流れ手前の階段を伝って池へと循環している。その流れの浅瀬で乳幼児が水浴びして遊ぶ)

コメント (3)
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