気象庁は9日に関東甲信地方の梅雨明けを宣言した。玉川上水では土手にヤマユリが咲いて梅雨が明け、ニイニイゼミが鳴き始め、最後に大雨と雷が鳴って夏本番に突入するのが常である。この時期に緑道を歩くとクヌギの樹液の発酵した甘酸っぱいにおいが漂ってくる。樹液にはカナブン、クワガタ、カブトムシの他に蝶や蜂が集まる。これらは子供たちへの素適なプレゼントだ。アジサイ、ネムノキ、ノウゼンカズラ、テイカカズラに続いて新たにムクゲが咲きだした。
ムクゲは漢字名が槿、無窮花で万葉の時代には「朝顔」と呼ばれていたという。朝に花が開き、夕方にはしぼんでまた翌朝開き、一重のもので2~3日、八重の長く咲くものでは2週間位一輪の花を楽しめる。白居易の詩の誤訳から一日花との誤解が多いという。私の育った南の島のハイビスカスによく似ている。こちらの漢字名は仏桑華で、これを子供の頃はアカバナと呼んでいた。調べてみると、やはりどちらもアオイ科である。
今年は5月に植えた苗が思いのほか順調に育っている。4本のニガウリはすでに一階の屋根の高さまで駆け登り、葉が繁って緑のカーテンと呼ぶにふさわしいぐらいに育ち続けている。ニガウリの花は多く咲いたが実はどうだろうか。2本のキュウリ、3本の桃太郎トマト、2本のミニトマトからはこれからも引き続き収穫が期待できそうである。来年も苗はJAで購入するつもりだ。先日知人からは畑で収穫したという玉ねぎ、ジャガイモが届いた。これは私には真似できないことだ。
つい最近のこと、庭では私が初めて見る花が咲きだした。昨年の8月に訪れた八ヶ岳山麓にある山荘から株分けしてもらったものだ。そのとき山荘の主は、3種の草花の押葉を作り、その裏にそれぞれの草の名をマジックで書いたものを持たしてくれていた。このこまやかな気配りのおかげで今度咲いた花の名をすぐに知ることができた。一つめは「おいらん草(フロックス)」、二つめは「たいまつ草(ベルガモット)」である。残念ながら三つめの草は、すでに消滅したのかどこにも見あたらない。それにしても花が咲かないと、その存在に気付くことができないというのも情けないことだと思う。