ある日の新聞広告に見入ってしまった。現役医師が著した「大往生したけれりゃ医療とかかわるな」という本である。書名の傍には「死ぬのはがんに限る。ただし治療はせずに」「自然死のすすめ」などとある。六章からなる目次の合計60以上もある項目が広告にすべて掲載されている。おそらく目次の項目だけでは満足できなくて本を買う人が出てくるはずというのが広告のねらいだろう。しかし私はこれらの項目を読み通して、この本を読了した気になってしまった。
たとえば「がんはあの世からのお迎えの使者」「早期発見の不幸・手遅れの幸せ」などは刺激的な項目だが「年寄りはどこか具合が悪いのが正常」とあたりまえもある。体の不都合の現れ方は人それぞれである。私の場合はまず視力の衰えだ。視力の衰弱がゆるやかに進行していると実感することがある。この不自由も自然な成り行きと受け止めている。冬場になってあらたな不都合が生じた。首から肩にかけての痛みである。「寝違え」かと思ったが単なる運動不足と現在のところ自己診断している。
これまで自室でラジオ体操および片足立ちとスクワットそれぞれ朝夕10分ほど体を動かすことを日課にしていた。それで十分だと考えていた。しかし今回の肩の痛みによるこの不愉快さは何とかしたい。これまでの運動量では明らかに不十分のようだ。プール通いやウォーキングもあるがこれはどちらかといえば単独行動型である。そのせいか私はこれまで長続きしなかった。そこで先週から市立体育館トレーニング室のエアロビクスに通うことにした。
参加は週に3回も可能だが2回にしておこう。一回が60分で、女性の参加者数が圧倒的である。エアロビクスとはリズム体操であり、いろいろなステップを踏むのだが初心者はとてもついていけない。人体のメカニズムとして筋肉は伸長よりも委縮に向かい、すべての器官は飽食に弱く飢餓に強いという。 快適な体調にはストレッチと腹八分目が唱えられるのは道理である。ストレッチは静的、動的(エアロビクス・関節をくり返し動かし)、バリスティック(ラジオ体操・反動をつけ弾むような動作)に分類される。(写真は日展会場にて)