この日は5時前に目覚めてラジオのスイッチを入れた。本当に久しぶりのことだ。目覚めきれない寝床の中で「誕生日の花」がシュンランで「花言葉」は飾らない心などと聞こえてくる。「今日の一句」は全部は思い出せないがシュンランはなにやら水の香りがするという句だった。しばらくして「季節のいのち」ではシジュウカラとヤマガラの鳴き声が流れてきた。日曜日10時からの「啓蟄」のミニ観察会は季節外れの暖かさとなった。
参加者の中にシュンランが咲いている場所に案内してくれる人がいた。草の中にかくれんぼうをするようにひっそりと咲くのがシュンランである。私の一人歩きではとても気付くことは不可能である。昔からかなりの人々に親しまれていたらしい。乱獲ですっかり少なくなってしまったという。この日は玉川上水で何本かのシュンランを発見たのでほっとした気分だった。農園の一角にある満開の河津桜の下では沈丁花が鮮烈な香りを漂わせている。去年この桜にはメジロが群がっていたが今年はその姿はない。
遅かった水仙や梅がここにきてやっと満開になった。この近辺では多くの人に親しまれている梅屋敷の梅を愛でる。歩いていると3月1日の春一番の時のような強風に見舞われ始めた。風で砂が舞い上がり煙のように見える砂煙である。執拗な砂煙に気休めにマスクを取り出して着けてみる。この時期のウグイスカグラは小さな赤い花をつけてその存在を主張するので、その数の多さに気付く。鈴木さんはフサザクラ、イヌザクラ、ヤマザクラの場所を案内してくれた。花の時期を迎えるにあたり予習しておくということらしい。
ここのところの眼科通いで玉川上水を片道50分のサイクリングをする機会が重なった。その帰り路には毎回のように都立小金井公園に立ち寄ることにした。梅林の近くにはロウバイ、アカバナマンサク、サンシュユ、ミツマタ、キブシなどが集中して植えられている。公園の広場では幼稚園児たちがぎっしり輪になってお弁当をいただいていたこともあった。今日の帰り路のことであるが、めずらしく自分一人の力で発見するという出来事が起きた。ケヤキの木が伐採されて、日あたりのよくなった玉川上水の土手にカタクリとアズマイチゲが咲いていた。通りがかりのおばさんが、これはあの角の家の方が育てたものだと私に教えてくれた。