孫娘たちがまだ日本にいて、終業式を目前にした週末に3人は立川で映画を見た。「午前十時の映画祭」シリーズの「アマデウス」である。30年ほど前に日本で公開されたこの映画を、私は子供たちと3人で見たことがある。上の子が中学生で、たしか立ち見だったという記憶がある。この日も人気は高く前列にわずかの空席があるだけだった。入場の際に孫娘たちを見た係員は、かなり長時間になりますと注意喚起してくれた。
始まってすぐにサリエリが自殺を計った鮮血の場面が目前に迫ってくる。下の孫娘は目を伏せながら隣りの私に救いを求めてくる。さてこれは途中退場もありうると覚悟を決める。ところがぴったり3時間に及ぶ上映時間中、退屈をした様子も見せずに最後まで見入っていた。二人の成長を感じた。映画のあと二人は昭和記念公園の無料エリアの原っぱでバッタを捕まえては放して遊んだ。(写真・まつり準備中)
その後しばらくの間、モーツァルトを演じるトム・ハルスの奇矯な笑い声を私が真似ると、二人とも面白がって真似返してきた。また甘いものが好きという設定のサリエリが、指についたチョコレートか何かを器用になめる仕草を真似て面白がったりした。このあとシリーズは「夏休み特別企画」として「バック・トゥ・ザ・フューチャー」3部作を3週連続上映だった。これらの映画を二人はアメリカで見たという。
私が「フューチャー」を発音すると二人はとてもおかしいと大笑いする。二人に真似たつもりでもいつまでも笑われてしまう。向き合って食事をしている二人が英語で会話することがある。その時は仕草からなにから大人びて見える。日本語で話しなさいと言うと、同じ内容を話しているらしいのだが、日本語になると大人の雰囲気はなくなっている。これは私の偏見あるいは錯覚なのだろうか。ところで、この夏は二人にかき氷を食べさせる機会がなかった。そこで買い置きのシロップを無駄にしないためにも、私は自分だけのためのかき氷を作ることになる。