偉人たちの健康診断という番組がある。伊能忠敬を取り上げた回を録画して見た。17年かけて伊能隊が測量のために歩いた全距離は約4万3千㌔で、地球一周以上を歩いたことになるという。1日平均40㌔を歩き、夜に宿泊地に着くと天体観測をした。お伊勢参りなどで当時の日本人が1日に歩く距離の目安が40㌔だった。驚くべき健脚だが、昔と今では日本人の歩き方が違っていたという。(たかの台商店街)
右手と右足、左手と左足をそれぞれ同時に出して前に進む歩き方を「ナンバ歩き」という。上半身と下半身のひねりが少なく腰への負担は少ない。踵でなく足の裏全体で着地するので膝への衝撃がやわらぐ。これが昔の日本人に健脚をもたらしていた。また、ひねりが少ないので和服がはだけることもない。この和服から洋服への服装の変化が、ナンバ歩きが消えた原因の一つと考えられるという。
それを聞いて、さっそくナンバ歩きを試みてみた。集中しないとすぐ元に戻る。手を膝に当てたままで歩くと良さそうだ。手をふるなら、右なら右と片方の手と足だけに集中する。または足裏全体での着地に集中してもよい。これからも懲りずに続けてみよう。竹馬での歩行、相撲の鉄砲、阿波踊りなどはナンバ歩きだ。力士の歩き方に、あるいは甲子園の入場行進にナンバ歩きがないかチェックしてみよう。
さて伊能隊が観測していのは北極星である。北極星は地軸の北極方向を伸ばした「天の北極」のそばにあり、星座の中でほとんど動かない星だ。南北の目盛である緯度は、北極は緯度90度、赤道は緯度0度である。北極星までの角度を測れば、その角度はその場所の緯度になる。少なくとも2地点の観測で緯度1度分の距離がでる。それの360倍が地球一周の長さというわけだ。北辰とは北極星の別称で、「北辰斜めにさすところ」という映画は、北極星を斜めに見上げる南国の地という意味だ。