自分で詠むことはほとんどないが、短歌への関心は今でも続いている。その証拠に新聞の歌壇は毎週目を通している。大相撲と同じで、いつのまにやら郷土の投稿者をさがしている。そして鹿児島県の2人の常連に気づいた。霧島市の久野茂樹さんと垂水市の岩元秀人さんである。
一度壁を突破すると、つぎつぎに一首詠めるようになるのだろうか。それとも恵まれた感性の持ち主だからなのか。選考は、選者には氏名を伏せて行われるのだろうが、この二人は頻繁に全国紙に掲載されている。鹿児島だけでなくこのような常連さんはほかにも多いことだろう。
二人の最近の作品。久野さん「する方とされる方とに分けられず老いの介護はおぼろな補完」「小売店を散々つぶしたスーパーがぷいと村から撤退はじめる」岩元さん「秋の日の波打ち際にうつむけばまぎれなくわがつま先のあり」「何もかも去りてしまいし青空に夏の証をのこす百日紅」(写真は都立国分寺公園にて)
どういう風の吹き回しか、そろりそろり短歌に挑戦してみる気になった。趣味を広げるのも悪くはない。一日一首のノルマは厳しい。とりあえず一週一首を目標にしようか。「雪はなく 静まりかえるジャンプ台 金メダルの絶叫 目をとじて聞く」「枯れて立ち 倒れて苔むす 木々ありて 神垣内には 生と死のあり」