玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*戦間期と現在①

2024年08月12日 | 捨て猫の独り言

 朝日新聞の連載記事を熟読し歴史を学ぶことにした。その連載は7月30日の朝刊1・2面に「百年~未来への歴史」として始まった。「きょうも戦火が人々の命を奪う。世界は再び大戦に向かうか、引き返せるかの分かれめにある。歴史は繰り返さないが韻を踏む。私たちは二つの大戦の《戦間期》に着目したい」とある。連載は不定期で、序章として「瀬戸際の時代」とあるが、何章まで続くかはいまのところ不明だ。

 第一次世界大戦はロシア、イギリス(日英同盟)、フランス、アメリカと中央同盟国のドイツ、オーストリア・ハンガリー、オスマン、ブルガリアの戦争だ。1939(大正3)年から1918年まで4年間続いた。第二次世界大戦は英仏中米ソと日独伊の戦争で1939(昭和14)年から1945年までの6年間続いた。「戦間期」とは第一次と二次の間の21年間で、いまから百年前のことだ。第一次大戦後1920年に国際連盟ができ、世界は国際協調へと歩み始めた。

 ところが国際連盟の試みは世界の平和に責任を持つはずの日本などの常任理事国によって壊された。1931年日本の関東軍が満州事変を起こした。国際連盟はすぐに撤退を命じるも日本は拒絶する。リットン調査団は侵略と認定したものの満州での権益を認める妥協をした。それでも日本は不服として国際連盟を脱退する。占領は既成事実化された。こうした対応を見ていたイタリアはエチオピアに侵攻。ナチスドイツもズデーデン地方の割譲を要求、戦禍を繰り返したくない英国など欧州主要国はナチスの要求をのんでしまう。「力による現状変更」に対応できず、平和を保つために築いた戦間期の秩序は崩壊した。

 世界は第二次大戦後、再び戦争を防げなかった反省にたち国際連合を中心とする国際秩序を作ってきた。ところが今起きていることは、またもや安保理常任理事国が他国を侵略する事態だ。常任理事国の5カ国には拒否権が認められ、核保有が条約で認められている。仮に安保理が制裁や武力介入をしようにもロシアの拒否権に阻まれて動けない。安保理の機能不全を招いているのは米国もだ。拒否権を使ってイスラエルを擁護している。国際社会が戦争を終わらせることを優先してロシアのウクライナの領土占領を認めれば、力による現状変更を禁じる国際規範は崩壊する。

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