秘密とは、ひそかに何かを持っていて、ひとに知られないようにしておくことだろう。
秘密と言うからには、その存在すら明らかにしない、それが真の秘密ではないか。
こんなものがあるぞ、確かにあるんだぞ、などと広言しておいていつまでも握っている。
そのうちに見せる時期を失って始末に困ると、垂れ流し同然の状態にする。
みんなで開けて見ようとか、開ける役目は誰にしようなどと言っているうちに、だれかが開けてみれば全然秘密にしておく価値がなかったということもあるだろう。
それならまだよいが、まるでガセだったという話もいつかあった。
こんなぶざまなところをたびたび見せられると、国家の要職に就いている人間が、そういう軽率な性格であるという事実こそ、重大な秘密にしておかなければならないことではないかと思い始めるのである。