ふわふわした菓子がおやつに出てきた。
食べるときに挟んだり包んだりはときどきしてみるが、はじめから挟まっているのはあまり好かない。
挟んでいるほうか、挟まれているほうか、どちらかの味にごまかしがあるような気がするから。こういう形の菓子でこれは美味いというものに、めぐり会ったことがまだない。
品名はブッセ、フランス語で bouchee は、ひとくちで食べられるような小さな菓子のことらしいが、このブッセはとてもひとくちというわけにはいかない。
1字違いで boucher という口をふさいでしまう意味の言葉がある。こちらのほうが当たっていそうである。
カール・ヘルマン・ブッセというドイツの作家がいた。
聞いたような名だと思ったら、ヘルマン・ヘッセの詩を好み、詩集の編集などをしていた人だという。
よく知られているのは、上田敏が訳した「山のあなた(Uber den Bergen)」、国語の教科書にも載り、3代目圓歌の噺でまた有名になった。
http://www.youtube.com/watch?v=bcXm_llPIvU
どこか雲のかなたで、うん、これならというブッセを、ゆっくり楽しみながら食べてみたい。