研究者と有能専門家は違う。
研究者は研究費をもらって研究をし、有能専門家は仕事をして対価を受け取る。
もらうのと受け取るのとには微妙な違いがある。違いの核は契約の有無である。
すると、研究者にプロはいないのではないか。
こんなことをふと考えていたら、いや、研究者にもアマとプロがいるぞと気付いた。
企業で研究の仕事をしている人たちは、多分プロの研究者だろう。
会社の決めた新規開発品の製造方法を研究する。これは研究の名を借りていても働きは有能専門家だろう。しかし、部分部分に研究の要素も入り込む。
研究には、カネにしばられないアマチュアリズムのようなものがよい結果を出す。
研究者/専門家という分類が無体なのだ。
そうなると、アマ/プロという分類にも無理があるかもしれない。
一人の人間が、あるときには研究の仕事を、あるときには専門家としての仕事をし、またあるときにはアマチュアとして感覚を働かせ、あるときにはプロフェッショナルな仕事に打ち込む。
分類は一種の方便だった。
だが、方便を逃げの手に使う研究はやめたほうがよい。