花は散るもの、落ちるもの。
落ちて散らばっただけなら、まだ狼藉とは言わない。
グレーチングを潜り抜け、排水溝を詰まらせたときから、狼藉となる。
狼藉被害の大小は、活動開始よりずっと前、花が落ちたときの処置で決まる。
花は落ちるもの、だが、咲いているときだけしか見ない人が多い。
人は、見たくないものに目を向けず、あってほしくないことに考えを及ばさない。
「こんなこともあるのに」と言った人が、異端者とされる。
タブー、それが狼藉拡大を強力に支援する。
言わずにほくそ笑む、花はそれを己への賛美と見誤る。