駅の階段の下にあった売店が、あるときに撤退してしまった。
そこでものを買ったことも、覗いたこともなかったので、まったく不便を感じないが、その場所の近くに看板のついた傘立てが、いま置いてある。
電車を降りて雨が降っていたら使ったくださいという、近頃珍しい心遣い。
毎日外に出ていたころは、傘がたまって、壊れたものから捨てていたが、壊れてよいものはなかなか丈夫で困っていた。
こういうことなら、どの駅でもできそうだが、見たのは初めて。
いつだったか、箱根のホテルの入り口にビニール傘を立てておいたら、翌朝までに蒸発、まだ降り続いていた雨に、駐車場まで駆け足をさせられたことがあった。
新品同様でも、どこにもある安傘だから、ホテルの備え付けと思って持って行ったのかもしれないが、それでも返しておくのが面倒だからはずうずうしいではないか。
通りすがりに見つけたものは何でも自分のものにしてしまう親を見習ってか、小学生のころについてしまった習慣か。
こういうものの扱い方で形成される集団の特性が民度なのだろう。