天皇賞で勝ったイタリア人の騎手、天覧席の前で下馬、ひざまづいて敬礼。
勝者の品格を見ることができ、心地よかった。
勝ちを得たときの仕草で、競技の品格も、勝者の国の品格も、そこに定まる。
あるとき、無邪気なアスリートが、もらったメダルを噛んで見せた。
その気まぐれな仕草も、サルまねが繰り返されると式典マナーのようになってしまう。
喜びの瞬間の表情などつかまえられない、腕の悪いおバカなカメラマンが、サルまねを注文する。
勝利の興奮も冷めかけたときの顔で、下品な所作を強いられた映像は、見苦しいだけのものでしかない。
TV中継の価値は、観るものにすがすがしさを与えたかどうかが、決め手になりそうである。
勝者の思考法 (PHP新書) | |
二宮 清純 | |
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