むかし。
海老がトレードマークになった坊さんがおったそうな。
庵も結ばず。きのみきのまま。
住所不定。地を枕に天を屋根として暮らしていたそうな。
食事はもっぱら川辺で海老採り。山で山菜。
風を友とし、月を愛でながら、修業と精進の日々を送っておったんじゃと。
その名は。・・・。
忘れてしもうた。
なんでかのう。
酒好きかどうかまでは思い出せなんだが。
たぶんに。里の衆からは親しまれておったそうじゃから。
酒もよばれたに違いあるまいて。
立場でもなく。富貴でもなく。ご利益でもない。
そのもの。素。で。尊ばれておったんじゃろうなぁ。
お布施でもなく。名誉でもなく。安定でもない。出世でもない。
坊さんは。ただただ。海老を探していたんじゃなぁ。
さてさて。
わしらの 海老 は、なんじゃろうか?
なかなかみつからんのう。