龍馬さんも偉かったが、この人も偉かった。
土佐の西、津野山郷が産んだ幕末の志士、吉村虎太郎。
「吉野山風に乱るるもみぢ葉は我が打つ太刀の血縁とみよ」
怒涛の歴史の火蓋を切ったともとれる、アバンギャルド軍団、天誅組として、早すぎるも真っ赤に散った先駆者。
半平太さんも偉かったが、この人も偉かった。
土佐の東、北川郷が産んだ、幕末の志士、中岡慎太郎。
「今日賎しいものが、明日には貴いかもしれない、小人か君子かは人の心の中にある。」
聡明かつ人徳者であったというこのひとも、歴史の刃から逃れられることはできなかった。
武市さん、吉村さん、中岡さん、坂本さん、土佐一国を東西に広げる翼のように結んで出で来たこの人たちは、後世土佐四天王と呼ばれるようになる。
謹厳、情熱、聡明、人徳、そんな風に取れなくも無い。
土佐勤皇党、天誅組、海援隊、陸援隊、とそれぞれのそれぞれは違うけれど、それぞれに心得たこころざし。
新時代を希求しながら、実現された新時代を見たものは一人もいない。
よく政局と政治を一緒にしてはいけないと、その筋では謳われる。
政局に散るものが政治ができないかどうか、政局に奮闘するものが国を考えていないかどうか、生き残ったものが本当に選良といえるのかどうか、私にはわからない。
ただ私は思う。
今日尊いものが、明日には卑しいかも知れない、小人か君子かは人の心の中にある。