その昔、庶民救済を結願に、荒廃した奈良の大仏の復興を目的に組織され、全国を行脚し様々な協力を求める「勧進(かんじん)」という行為に命を掛けた人々がいました。
すわっ一大事となれば、当時も今も変わることなく、時代時代の勧進があり、それに使命を持って命を掛ける人々がいます。
その昔は大仏の復興に、その今は核の慰撫に、庶民救済の為の勧進再び興るかのようです。
大過滅失、悪難退散、傷病治癒、護国芳情、天下安穏、再興勧進、心願成就。
勧進帳には祈りの数々。
命がけの人々とそれに応える人々と、あいまって再興された奈良の大仏は、天災や戦禍や飢饉に苦しんでいた当時の庶民にとっては、太いなる救済のメッセージであり、再興に向かう人々に人間の本当の強さを教えたのではないかと思うのです。