南無煩悩大菩薩

今日是好日也

フレア、地震、雷、火事、台風

2017-11-05 | 古今北東西南の切抜
(picture/source)

NASA | Magnificent Eruption in Full HD


9月上旬、太陽の表面で大規模な「フレア」が発生、11年ぶりの大きさだったため世界中で報道された。最近の研究では、それの更に100倍以上大きい「スーパーフレア」が起きる可能性も指摘されている。

巨大なフレアの爆発のエネルギーは水素爆弾の一億個分に匹敵する。まず、発生直後に強力なX線などが地球に届き、通信障害を引き起こす。続いて30分から2日で爆発で太陽から吹き飛ばされた陽子などの粒子線、プラズマと呼ばれる高温のガスが地球に達し、地球を覆う地磁気が乱れて大規模な停電が起きたり電子機器が壊れたりする。

1989年にカナダのケベック州で送電網が壊れ、600万世帯が停電した。2001年には、日本の人工衛星が制御できなくなり、地球に落下した。電子機器が普及した現代では、スマートフォンや全地球測位システム(GPS)などの被害が広がる可能性が高い。

京都大学の柴田一成教授らは米国の宇宙望遠鏡「ケプラー」の観測データを利用して太陽に似た8万個以上の恒星について分析。9か月間に148個の恒星でスーパーフレアが365回起きたことを突き止めた。そこから見積もると、地球で観測された最大規模のフレアの100倍というスーパーフレアは800年に一度、更に大きい1000倍クラスだと5000年に一度ほど起きているという。

フレアの大きさと被害の規模とは必ずしも一致しない。大量のプラズマが吹き飛ばされる「コロナ質量放出」が起きるとは限らないからだ。さらに地球を直撃しなければ通信障害は起きても停電などの心配は少ない。プラズマが地球に向かう確率は4分の1くらいという。

ただ、スーパーフレアが地球を直撃すれば、電子機器に支えられた現代文明は壊滅的な被害を受けかねない。柴田教授らは論文の中で「太陽でも起きる可能性がある」と書こうとしたが、科学誌の編集部に「人々を恐怖に陥れる内容を書くべきでない」と反対されて削除したという。

太陽でもスーパーフレアが起きたとみられる痕跡は見つかっている。名古屋大学の増田公明准教授らが樹齢1900年の屋久杉の年輪にある特殊な炭素(炭素14)を調べた研究で、奈良時代の775年に宇宙から大量の放射線が降り注いだことがわかっている。太陽より大きな恒星が寿命を全うした時に起きる超新星爆発の可能性もあるが、古文書などにも記録は残っていない。スーパーフレアが有力候補とみられる。

スーパーフレアを起こす黒点の観測など、太陽の近代的な研究が始まってから200年に満たない。予想されるスーパーフレアの発生頻度に比べるとまだまだ短い。将来、太陽に巨大な黒点が現れ、スーパーフレアの発生に備える準備が必要になる日が来るかもしれない。 -切抜抜粋/日経新聞「サイエンス」より-

NASA | Fiery Looping Rain on the Sun
コメント (2)
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