南無煩悩大菩薩

今日是好日也

神と神々

2019-07-24 | 意匠芸術美術音楽
(picture/source)

キラフィスの都で詭弁家が寺院の階段に立ち、多くの神々を説いた。すると人々は心の中で言った。「分かりきったことだ。神々は我々と共に住み我々が行く先々どこにでもついてくるではないか?」

それから間もなく、他の男が市場に立ち、人々にこう語って聞かせた。「神など存在しない」。これを耳にした多くの人々は彼の知らせに喜んだ。なぜなら、彼らは神々を恐れていたのだから。

また別の日に、素晴らしく雄弁な男がやって来た。彼はこう言った。「一人の神しか存在しない」。人々は動揺した。なぜなら彼らは心の中で一人の神の処罰を多くの神の処罰よりも恐れたからだ。

その同じ季節に、また別の男がやって来た。そして彼は人々にこう言った。「三人の神がいる。彼らは風の中に一つのものとして存在し、彼らのつれあいであり同時に妹でもある、包容力があり慈悲深い母を持っている」。

これを聞いて誰もが胸をなでおろした。と言うのも彼らはこっそりこう思ったからだ。「一つとなった三人の神々は間違いなく我々の失敗に関して意見が食い違うだろう。それに、彼らの慈悲深い母が可哀想な弱者である我々を擁護してくださるに違いない」。

こうして今に至るまで、キラフィスの都では、多くの神々や神の不在、ただ一人の神や一つになった三人の神々、そして神々の慈悲深い母についての言い争いや議論が絶えないのだ。

-カリール・ジブラン「GOD AND MANY GOD」

kamigaminouta (kairyuba-jon)
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