南無煩悩大菩薩

今日是好日也

不合理な風潮

2019-09-03 | 古今北東西南の切抜
(photo/source)

・・・雷政治委員がまた首を振った。「技術的にもオペレーション的にも造作ないことはわかっている。しかし、楊チーフ、君はどうも・・・この手のことには鈍感みたいだな。赤い太陽に向かって超強力な電波を送信するんだぞ。こういう実験が政治的にどう解釈されるか、考えてみたことは?」楊と文潔は、どちらも茫然としたが、雷の反対理由が荒唐無稽だとは思わなかった。逆に、自分たちがその可能性を考えもしなかったことにぞっとしたのである。

この時代、すべてのものに政治的な意味を見出す風潮は、不合理なレベルにまで達していた。

紅衛兵は、隊列を組んで歩く際は左折のみ許され、右折は禁止された。

信号機は、赤が進めで、青が止まれでなければならないと提案されたこともある(周恩来首相に却下されたが)。

また、この頃の人民元の「一角」札には農民が描かれていたが、そのうちふたりはそれぞれ鉄のシャベルと鋤をかついでいたため、共産党政権の撲滅または粛清を意味していると解釈され、絵の作者はひどい迫害を受けた。

またある者は、家の壁に指導者の写真を貼っていたが、自分の写真は額に入れていたため、十年近く投獄されることになった・・・・。

-切抜/劉慈欣「三体」より
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