散りぬべき 時しりてこそ 世の中の
花も花なれ 人も人なれ。
-細川ガラシャ-
戦国武将細川忠興候の妻にして、薄運の天下人明智光秀候の娘。
天下分け目の関が原、東西の合戦にのぞみ、家康公に組した夫は従軍、留守居の妻は、三成候が人質となるを拒むる立場にて、屋敷に火をつけ炎中に自害。
いや。洗礼をうけたクリスチャンなれば、自害はできまい。
今で言う嘱託殺人に、一家挙げて同意の、辞世であったろう。
心のうちの諦観、苦悩、情念はいかばかりであったろうか。
父の存亡の際に、静観を決め込んだ嫁入り先で彼女は何を思ったろう。
そして、やがて父を滅ぼした相手の組下となっての心持やいかに。
またそぞろ来る争いの渦中での散らす花身の胸中。
戦国の世の花の移ろい。
測るすべも無い。
彼女は、何をもって同意としたのだろう。
戦国の花。
ガラシャの自害によって、それ以後人質の無理強いは、なくなったという。
散りぬべき 時しりてこそ 世の中の
花も花なれ 人も人なれ。