バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

バスガイドは語る

2008-11-12 06:40:34 | ライフスタイル
 初めて受けた乳がん検診。指定された会場に行くと、同じ世代の近所の女性達が集まっていた。
「すっごく痛いわよ」と十分脅されて検診カーに乗り込む。
「こちらで着替えてお待ちください」。入口脇のブースに年配女性がいて事務処理している。まるでバスの車掌さんみたい。
 カーテンあけると仕切られた空間に妙に豪華なソファがあつらえてある。女性をいたわりましょうという気配りかと一瞬思ったが、ほどなくバスの長椅子部分をカーテンでしきったということが解る。一人終わると検査待ちの席に誘導される。
「1万2千円もらって、3年後に税金上げられるって、どう?」
 すごく痛いという前触れを反芻させながらまんじりと順番待ちしている頭の上から、突然低いしゃがれた声で語りかけられた。
 さっきまで、業務言葉で誘導していたバスガイドおばさんだった。おばさんは語る。日本の世襲制が悪い。このままでは北朝鮮みたいになってしまうと続ける。フンフンと相づちを打ちながら、なにか気のきいた応答しようかと思うが、こんな短い待ち時間でトークしてもなぁ。こういう人は語ることで発散しているのだから、とにかく聞き役に徹することにした。語るおばさんの口元を見つめながら、「ゆばーば」が思い出された。「日本の政治の問題点はこの3っつよ。」おっといきなりトークは結論へと向かう。「世襲制と○○と(なんて言ったか忘れてしまった)、そして3ッつ目は、ほら、あれよ」言葉が思い出せなくなって、うーとうなっている。前の人が終わり、ドアが開く瞬間に「議員年金よ」と言い放つと、すぐさまバスガイドに変身して「中へお入りください」と高い声に変わった。
 検査を終えると、同じように順番待ちしている人に政治トークしていた。次の人は果敢にもおばさんに言葉返していたから、話の様子から待ち時間では結論まで持っていかれなかった様子。あれじゃストレスたまるでしょ、おばさん。そそくさと着替えを済ませ、「おつかれさまでしたー」と高いバスガイドの声を背に、バスを降りるのでした。