最近、新規でご来店頂く方の場合で、オークションや、個人売買で購入された方が多くなっています。ショップ購入よりは、安いですが、購入後補償も無く、納車後しばらくして不具合が発生する車両も見受けられます。最終型でも製造から13年ほど経過していますので、前オーナーの取り扱い状況で、かなり車両の状態に個体差があるようです。今の所、部品供給は、それほど滞っていませんが、純正部品の価格は値上がりしています。
中古車を購入され、不具合カ所があるようなので、コンディションレベルチェックパックとスタータークラッチ交換でお預かりです。マフラーもスリップオンタイプの社外品で音量が大きいとのことでしたので、最初に純正マフラーに戻しました。スタータークラッチ交換のためにエンジンオイルを抜きます。
クラッチレバーが軽すぎるので、マスターを開けてみたら、フルードが減っており、エアが混入していました。点検するとクラッチレリーズからフルードが漏れていたので、同時に交換です。スタータークラッチ分解中です。
スタータークラッチを外しました。過去に外された形跡があり、3本のボルトのみ交換したようで、各部摩耗し、ガタが酷く、ピンが噛まない状態で空回りしていました。クラッチレリーズを外しましたが、クランクケース側の塗装がボロボロでした。
取り外したクラッチレリーズです。劣化していたので、プッシュロッドのオイルシールとシフトシャフトのオイルシールも交換しました。組み立て後、フルードを入れ、エア抜きです。
エンジンも始動できるようになり、クラッチも正常に戻ったので、点検から始めます。タイヤは、前後製造後2年以上たっていますが、溝もあり、まだ使えそうです。
エアクリーナーは、ヤマハ純正です。まだ、使用可能です。ダイヤフラムは、4個とも回転が見られました。
とりあえずダイヤフラムの回転を応急処置的に戻していきます。2番キャブレターのフタを開けたらガソリンが出てきました。キャブレターに2個パージジェットがあり、ダイヤフラムのゴムの内側と外側に吸いこみ口があります。パージジェットの役割は、この部分に溜まったガソリンをインテークに吸わせることになっていますが今回は、詰まっていました。
スパークプラグは、NGK製JR8Cでしたが、カブリ気味でした。火は飛んでいたので、今回は、そのまま使用です。テールランプが点灯せず、ブレーキランプは点灯するので、点検したら、テールランプ側の配線に電源が来ていません。原因は、メインキーの接触不良でした。この車両は、メインキーが逆車純正ではなくパーキングの機能が無いので、国内仕様用か他車種の流用のようですが、配線部分のみVmax逆車用でした。旧型Vmaxの逆車は、パーキング機能のためテールランプの配線はメインキー直結になっています。
秋月電子扱いのバッテリーでしたので、点検のみです。
エンジン始動前と始動後(ヘッドライト消灯時)の電圧です。充電系は平気そうです。
フロントフォークのエア圧は、規定値(1人時)より高かったので、規定値(0.4)に戻しました。
ダストシールは、ヒビ割れており、隙間が空いていますので、役目を果たしておりません。
ダストシールがだめなので、水分が入って、クリップが錆びています。フォークオイルはまだ漏れていないようです。
フロント&リアブレーキのフルードです。交換時期不明です。
クーラントは、エンジンオイル混入は、無さそうですが、ラジエター下のパイプとサーモスタット部のフタからクーラントが滲むことがあります。漏れた分、少し液量が減っています。リザーブタンクのキャップですが、締めすぎると割れます。漏れてはいないようですが、割れていました。
リアサスは、バンプラバーも無く、オイルが滲んでいます。
前後キャリパーの作動は問題無いようですが、要清掃です。パッド残量はまだ、あります。ガソリンタンクは、錆があり、また、燃料センサーが作動していません。
パイロットスクリューですが、1番、2番の左側キャブレターは、パイロットスクリューが作動しますが、3番、4番の右側は、2個とも固着しており回りませんでした。ただ、4気筒ともスロー系統は生きているようでした。今回交換した部品類です。プラグコード&キャップは、純正新品にしました。また、左右クランクケースカバーのボルト類は、新品に交換しました。
最終チェックと試乗です。特に緊急を要する修理個所は、とりあえず無さそうですが、劣化している部分もあるので、順次、修理作業を行うことになるかもしれません。とりあえずキャブレターの機能は生きていそうでしたので、純正マフラーに合わせ、点検調整と同調を行いました。納車可能になりました。よろしくお願いいたします。
2020.01.31 作業担当 ヤダ(矢田)