旧型Vmaxをかなりの台数修理していますが、時々、故障原因の判断に迷う事例があります。修理については同じような故障原因の修理はたくさんありますが、似ているだけで、車両の年式や、個体差、使用状況がそれぞれ違うので、先入観を持って、原因の判断を行うのは、間違うこともあるので、トラブルシューティングは、個別に正確に行う必要があると思いました。
12か月点検整備でお預かりです。エンジンオイル、オイルフィルター、ギアオイル交換中です。
クーラントは、エンジンオイル混入や、漏れ等は無いので、全量交換のみです。
エアクリーナーは、K&N製なので洗浄です。
ダイヤフラムは、回転や作動不良は無いので、平気そうです。スパークプラグは、点検清掃のみです。
前後キャリパーは、パッド残量はあるので、点検清掃のみです。
バッテリーの電圧と容量は平気そうです。
エンジン始動前と始動後(ヘッドライト消灯時)の電圧です。充電系は、平気そうです。
フルードは、フロント&リアブレーキ、クラッチの3カ所とも交換です。
今回交換した部品類です。フロントフォークオイルは交換し、トップキャップのOリングとダストシールは、交換しました。シフトリンクのカバーも破れていたので、交換し、グリスアップです。
納車後、1か月ほどしてからエンジン始動困難のご連絡を頂き、レッカー入庫し、各部を点検してみました。12か月点検後、距離は乗られていないので、点検時触った箇所を見ましたが、問題なく、スタータークラッチからの異音がありましたので、一応外して点検しましたが、バッテリーや、モーター、スタータークラッチには異常が無く、4気筒とも点火火花も規定値以上飛んでいました。ただ、エンジンが掛かれば、走行可能でしたが、1000~1500回転の間が調子悪く、始動性も悪かったので、点火時期異常を疑いました。エンジン始動時のクランク回転が遅い状態や、アイドリング付近で点火進角が始まっていない回転数で、規定値より進角してしまった場合、早期着火でピストンの上死点手前で、燃焼圧力が上がってしまった場合は、逆にピストンが押し返され、クランクが逆回転する可能性があります。点検の最後に、別のイグナイターに交換し、症状が改善されたので、イグナイターの故障と判断し、中古のイグナイターで、しばらく様子を見てもらうことにしました。電気系は、なかなか難しいです。点火時期がズレたせいか、スパークプラグの焼けもおかしくなっていたので、新品交換しました。
12か月点検後、一旦無事納車になっていましたが、結果的にイグナイター故障で、再度、追加修理になりました。
2021.11.23 作業担当 ヤダ(矢田)