物理世界に設置されたセンサーからインターネット経由で集められた「リアルタイム」のデータを分析し、「リアルタイム(即座)」にアクションを起こせるような応用(あるいはソリューション)をこのように呼んでいるようです(※1)。
※1 「リアルタイムIoTに挑む」、日経ビッグデータ、2014年8月号、pp. 6-11
収集されたセンサーデータを蓄積し、それを分析し、結果を将来的な計画や戦略に活かすような応用に対比する概念として使われているようです。用語として、定着はしていないようです。
IoT(あるいはCPS:Cyber-Physical System、あるいはデジタルツイン)の普及や検討が進む中、リアルタイムIoTの応用が広がりつつあると思われますが、上記※1の文献では、当時の事例として、以下のようなものが紹介されています。
(1)災害等有事の際の周辺状況のは握:有事発生の際に多様なリアルタイムデータ(交通・気象・地形や建物倒壊リスクなど)を収集しかつ組み合わせ、危険の回避に役立てるような応用。東北大学の桑原雅夫教授が取りまとめをしている産学協同の”DOMINGOプロジェクト(※2)”が紹介されています。クルマのプローブデータに他のデータを組み合わせるなど。
※2 多様なデータ融合による災害時のモビリティ支援、http://www.plan.civil.tohoku.ac.jp/kuwahara/research/2017DOMINGO.pdfを参照
(2)店舗内の顧客や場所のは握:iOS7から標準搭載されている「iBeacon機能」(※3)を利用し、スマホを携帯する顧客と現在位置を認識し、マッチした販促情報等をスマホへ提供するような応用。
※3 BLE(Bluetooth省電力版)を用いた情報提供サービス。関連ブログ(“iBeacon(アップル)”とは、2014.1.2)は、https://blog.goo.ne.jp/blspruce/e/f570c86c2eaf9301a2e7a77cab4ad717です。
(3)インフラのダメージのは握:東京湾の「東京ゲートブリッジ」の様々な場所に光ファイバー応用のセンサーを設置、大地震等の発生時にセンサーデータからトラック等が橋を通行可能かどうかをリアルタイムに判定するような応用。
(4)リサイクル品回収タイミングの把握:複数のスーパーに設置された古新聞・雑誌の回収箱に重量センサーを設置、重量をリアルタイムに監視し、満杯に至る前、適切なタイミングに巡回回収できるようにする応用。
(5)生活パタンの把握:機械学習機能付きサーモスタット(自動温度調節装置)を利用しているユーザの生活パタンを把握、その人の身の回りの機器を自動でコントロールできるようにする応用。
上記の応用は、ほんの一部と思われ、今後、IoTとしての特性を活かした応用、例えば、物流サービスにおける需給間のマッチングや移動サービスなど、分野間、業界間を跨るリアルタイムIoTの応用が広がりを見せていくものと思われます。