日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

志の輔らくご in 下北沢

2012-07-20 08:40:21 | ふさおまき(オス)日記

先輩からお誘いをいただいて、下北沢は本多劇場へでかけました。

昼しか歩いたことのない下北沢の19時、宵の駅から階段を下りていくのは

ほとんどが20代に見えます。

静かに街へ散っていく若い人たちに、下北沢の掌を見つつ、

呼び込みの立つ本多劇場は「志の輔らくご」へと歩き入りました。

 

会場の中は、期待の高まる、寄せては返す人々のざわめき。

雰囲気を目で感じているような楽しさが、劇場の良さでしょう。

やがて開演近くのアナウンスに招かれ、少し膝を固くして座る席に収まり、

周りを見れば満員です。

暗転して、志の輔師匠登壇。

ロンドンオリンピックと猛暑の枕は、小さなひそひそ声で立ち上がり、

なんだなんだ、聞こえないぞと耳をそばだたせざるを得ず、集中して聞き入るうちに

師匠の声は普通のトーンに上がっていきます。

こういう場作りは見習わなければ、と身の丈も顧みず思ってしまいます。

 

話は2時間ノンストップ、驚くべき話力と体力です。

これを10日、毎日昼夜と提供するのですから、芸の道とはやはり浮き世を越えたところにあり、

そこに遊ばせていただく観客は、容易に日常から脱することができるというものです。

お話は、現代の千葉と江戸の伊能忠敬を行き来する時空もの。

落語の世界ではなく講談の住人だという伊能を、脇役たちの思いに話を転じていくことで、

見事に情話へと展開していきます。

うまいなあ、うまいなあ。

構成が。

そしてもちろん、話の間が。

人に聞かせるリズムと言葉の打ち方に、やや現実的な贈り物を得た気分もしながら、

2時間を過ごしたのでした。