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Brugge Style
イスパハンは遥か遠く
(続きで)それでですね、神秘の仔羊のケーキはケーキ型が復活祭までに手に入らなかったために来年の宿題とした。
復活祭の日曜日にはイスパハンを作ってみるつもりだ...と豪語したので、恥を忍んで載せます。
使用したレシピはマダム・フィガロに掲載されたピエール・エルメのもの。
野暮ったい出来である。
イスパハン、やはり素人には、おとぎ話の中の都のお城のように、遠い、遠かったよ...
なんといっても均一な大きさに美しく20センチものシェル(上下のマカロン生地)を絞り出すのが難しい!
右が合えば左が合わない。厚みもところどころ微妙に異なる。
エルメやラデュレにはある、シェルの縁の美味しそうなギザギザが形成されてないし...
でも味は、瞳を大きく開いてしまうくらいおいしい! あの味!
余った生地でマカロンも作った。あら不思議、ラデュレの薔薇のマカロンそのもの。手前味噌。
次回は
食紅はショックなほど必要。焼くと色があせる。
20センチに絞り出すのではなく、一人に一個の直径6センチくらいの小型にする。
オーブンの温度(わたしが参考にしたマダムフィガロのレシピには170度と書いてあったが160度でいいと思う。事後、いくつか動画を探してチェックしたらやっぱり160度だった...)に注意。
少々しっとり目で思い切ってオーブンから出して乾かす感じにすべし。
ケーキクーラーに激しくくっつくので注意。
熱いうちはしかも割れやすい。 この点は直径6センチにすることで簡単に克服できる。
赤い薔薇の花びらがなんとしても必要なのである(赤い薔薇が手に入らなかったので、脇庭の赤椿の花びらを使った...!)
やっぱりグルコースの露の演出も欲しい。
この薔薇のシロップ、初めて買ったが、このボトルを眺めているだけで身体の中をいいものが巡るような気がする。
香りもすばらしい。
ソルベやカクテルなどにも活用できそう。
......
今日は復活祭の月曜日で、英国は隔離4週間目に入る。
昨日、12日は2020年の復活祭だった。
まず、新型コロナウイルスに感染して入院中だったボリス・ジョンソン英国首相が退院した。
復活祭に退院するとは。かつ、2回目の国民へのメッセージ・ビデオを公開して千両役者ぶりを見せた。
特にメッセージ・ビデオでは、入院中世話になった医療スタッフ全員の名前をあげつつ(そのうちICUの看護師2人はニュージーランドとポルトガルからの「移民」だった。彼が移民管理に厳しい方針を選択するEU離脱を完了させたこととの関連に注目)感謝を捧げ、国民には再び「家にいろ、NHSを守れ、命を救え」と訴えた。
次に、英国の新型コロナウイルスによる死者が累計で1万人(病院以外での死者数を含まず)を超えた。
死者が1万人を超えたのは世界で5カ国目であり、アメリカ、イタリア、スペイン、フランス、英国の順になっている。
英政府の科学顧問は、今後英国が欧州内で最も被害の大きい国になる恐れがあると警告している。
一方、ドイツではフランスの13万3600人以上(4月12日時点)に次ぐ12万7800人以上の感染が確認されているものの、死者は3000人に達していない。
ドイツの入院患者の少なさ、並びに死者の少なさは、韓国と同じで検査規模と、病床とICUの充実などによるらしい。
それに習い、英国でも今後1日あたり10万件の検査実施を目標にしている。
また、隔離で時間を稼ぎつつ、治療法とワクチンの開発が「唯一の真の出口戦略」。
(わたしと縁の深い)ベルギーは、他の国と比べると人口が少ないので合計の死者数が目立たないが、人口100万人あたりの死亡率でを見ると(大切なのはこちらの数字)今後深刻化しそうな国として挙げられている。
復活祭、神の仔羊
先日、復活祭のお菓子として、ベルギー人の夫が子供の頃よく食べた伝統的な「神秘の仔羊」型のケーキを作ってはどうか、と提案してきた...という話を書いた。
この仔羊は人間の贖罪のために死んだイエス・キリストその人で、中身にはフランボワーズなどの赤いジャムが仕込まれており、聖書の記述通り、「仔羊の胸の傷口から血があふれるが、苦悶の様子は見せない」演出だそうだ。
わたしは13年のベルギー生活中においては見かけたことがなく、ケーキ型をネットで購入して作ろうかと思った(配達が復活祭に間に合わないため断念)...と書いたら、パリにお住まいのYさんが、「去年の復活祭のころで、近所のケーキ屋さんのウインドー越しにあまりにもリアルな仔羊ケーキに思わず立ち止まって写真を撮」られたのを送ってくださったのだ!!
仔羊のリアルさがヤン・ファン・エイクの『神秘の仔羊』のように、愛らしいと同時に高貴ですらあり、首元のリボンも優雅で、しかもしかもおいしそう...さすがパリのパティシエだと感心したのである(Yさん、あらてめてありがとうございました!)
来年は絶対に自作してみたい。
下の写真はロックダウン中のパリの写真、Yさんからいただいたものを。
許された範囲内でお散歩に行かれた時のものだそう。 こんなに空いているエトワール広場まわり...
ロンドン・パリ間は近いのに、今、とても遠く感じる。