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Brugge Style
芸術家の世界
約一年前、去年の12月、クリスマス直前のブルージュ。
今年は新型コロナ禍で、夏に大急ぎで帰ったきりだ。
写真は今日の内容とはほとんど関係がない。
娘がブルージュのコンセルバトワールでお世話になったピアノの恩師が、『メディア』(古代ギリシア三大悲劇詩人のひとりエウリピデスによる戯曲)の作曲風景をライヴストリームで流すのを観覧した(今も継続中)。
彼女はもうだいぶ前からピアノ教師はしておらず、現在は作曲と作曲教育に専念していて、欧州では有名な作曲家なのである。
静謐で理知的でありながら、その真反対(<これを情熱などと呼ぶと野暮ったくなるのであえてぼかす)を併せ持ち、一小節に数時間かけつつ、全体を見ている。
なんと平均して1日につき8秒(8秒を作曲するのに1日かかる)の演奏を完成させるそう...
オーケストラと声楽パートもですからね...
頭の中、いったいどうなっているんでしょうね...
そういった「芸術家だけが見ている別の世界」へ連れ去られてしまうという快楽の中で日が暮れた。
たとえ、たとえ消音で画面を見ていたとしても、「彼女が見ているもの、聞いているもの」が、間接照明の中に浮かび上がる。
まるでメディアの魔法そのもののようだ。
「魔法のようだ」というどうしようもなくシロウト臭い感想に彼女はきっと苦笑するだろうが、彼女の目と耳を借りて(グライアイのように?)見る世界は、わたしに馴染みのあるものとは全く違った風景の世界だった。
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