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Brugge Style
2020年のクリスマスまであと1ヶ月
昨夜、英国の今年のクリスマス時期の特別ルールが発表された。
わたしが住んでいるイングランドは、来月12月2日に、現行の2回目のロックダウンが予定通り明ける。
その後は、さまざまな数字を鑑みた地域ごとのティア・システム(感染者数の多寡によってルールに強弱をつける)に再び移行するが、英国内の他の国、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドはまた別のルールで動いているので、クリスマス前後に予想される人々の移動を踏まえた4国全体のルールすり合わせが行われたのだ。
英国って小さい国というイメージがあるかもしれないが、北海道と九州を除いたくらいの面積があるのだ。
感染者数を減らすのが喫緊である以上、人生のうち、一回くらいクリスマスがなくてもどうってことないじゃない? と思うのは、わたしが幼稚園児の頃から一貫してずっとキリスト教と深い縁があったというだけで、クリスチャンではないからなのだろう。
贅沢な食べ物や、物の種類が少なかった戦後までの時期ならいざ知らず、現在では丸焼きチキンもターキーも、特別な色と形のケーキも、プレゼントと称した玩具なども、いつでもいくらでも用意できるではないか。
例えば、戦後すぐに生まれた、比較的裕福な家庭出身の義理の母の話では、子供の頃、丸焼きチキンは当時はご馳走でクリスマスにしか食べられず(牛肉が日常だったそうです)、上等の晴れ着を新調するのはクリスマスだけ、玩具などの贈り物がもらえるのもクリスマスだけ、バターが食べ放題なのも...夜更かしができるのも...だったそうだ。
ちなみに、誕生日には毎年イニシャル入りの銀のカトラリーとテーブル・リネンを贈られ、子供の頃は憮然としたそうです。「嫁ぐ」までに24人分のテーブルセットが揃う計算なのである。
そんな時代なら、一年に一回、大家族がテーブルを囲み、お客さんを迎え、特別な料理を食べ、欲しかったものを買ったり贈ったりするのも大きなイベントだったろう。
今は教会に行く人も多くはなく、ましてや、クリスマス本来の意味合い(死の季節に打ち勝ち、再生を願う)も失われている。
家族や友達を大切にし、慈善を、というのなら、日頃からそうしていればいいことだし...
それこそ、3月あたりの気候が良くなり、ワクチンも行き渡り始めた時分に祝ったら? などという思いがよぎらないことはない。
しかし、他の人が大切にしている行事や行為をけなすのは野暮なのでやめておこう。行事を執り行うのは共同体を再確認するために大切なのだ。人間は一人では生きられない。
今年こそ、街に灯を灯し、悲しんだり苦しんだりしている人を助け、伝統を共有し、ご縁でテーブルを囲めることを寿ぎ、決意を新たにする必要があるのかもしれない。
話を戻す。
簡単には、英国の今年のクリスマスは、12月23日から27日までの期間は、移動と、3世帯(一緒に住んでいる人が1世帯の勘定。「1バブル」と呼ぶ)に限り、会合が許可される。
ちなみにイングランドは現行のロックダウン下で、すでに1世帯とのミックスが許可されているので、クリスマスはこの1世帯を含めた計3世帯になる。
北アイルランドに限っては、海を隔てているので、移動時間としてこの5日間プラス多少の時間の余裕が計上されているらしい。
おそらく、12月2日にロックダウンが開け、商店が営業を始めたら、クリスマスの買い物客でロンドンなど街はごったがえすはずだ(現に先にロックダウン明けした北アイルランドの週末はものすごい人混みだったらしい)。
そして、クリスマスとお正月で羽目を外した結果、1月はまた第3波がやってくるのではないかと...
わたしが12月にとても楽しみにしていたKrystian Zimermanは一度キャンセルになり、規模を縮小してのチケットの再販が行われ、ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』もチケット発売が延期になった。イングリッシュ・ナショナル・バレエの『くるみ割り人形』は12月分から1月分にかけてすべてキャンセルに...
『くるみ割り人形』がないクリスマスイヴなんて、忠臣蔵のない大晦日である。
ピアノのリサイタルでいうと、3月のKissinがキャンセルになったのはショックで声も出ない。いい席取れたのに、規模を縮小しての再販かなあ...チケットを取るのって、結構ストレスなんですけど!!
みなさまの今年のクリスマスは??
(写真は去年のクリスマス時期のもの)