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アルハンブラの青い薔薇





『シャトーの青い夜』
『エクセンプロヴァンスの青い朝』
『パリの赤い朝』
『グレナダの青い夜』
...に続いて今夜は『アルハンブラの青い薔薇』。


スペインはアンダルシア地方、グレナダのアルハンブラ宮殿に属するカルロス5世宮殿で、マルタ・アルゲリッチがラヴェルを弾くと聴いて「行かない」を選択する人がいるだろうか。

マルタ・アルゲリッチは青い薔薇のようなひとである。





カルロス5世宮殿は...

数百年にわたる建築の複合体ともいえるアルハンブラは、8世紀のイスラムのイベリア半島侵入以降、徐々に、特に13世紀から15世紀のナスル朝時代に建築拡大された城郭都市であるが、15世紀になってキリスト教徒のレコンキスタによってグラナダが陥落させられると、カルロス5世は宮殿の建築を決めた。
「ペドロ・マチューカが、正方形の建物の中央に、円形の中庭を設けるという設計をし(現在も未完成)、スペインにおける純イタリア様式の成功傑作と称されている。(Wikipediaより)」

外から見ると頑丈な箱のような形。4面ごとに中央に設けられている扉から入館すると中はエンタブラチュアの並ぶ優美な円形で驚く。




この建物の外の頑丈さと内の優美さ。
どんなカメラならば収めることができるのだろうか。やっぱり絵かしら。

アルゲリッチの自由な精神と勇気と美しさは、どんな言葉なら表すことができるのだろうか。




手のひらの上で転がす、とはこのことではなかろうか(褒めてます!)...

ラヴェルのスコアのあらゆる美点をひきだし、きわだて、具体化し、驚異的なリズム感で楽しませつつ、他の楽器も忘れない...演奏だった。マンネリズムなどとは無縁の、フレッシュで、フレッシュで、フレッシュな演奏!

「能力の高い人」というのは、他の人の能力を最大限に引き出す能力のある人、であるとしたら、まさにその通りだ。

アンコールのバッハのイギリス組曲第3番2つのガボットも、パーソナルで特別美しかった。

アルゲリッチがものの30分ほどの演奏で颯のように去った後も(例によって例の如く、彼女は喝采に照れに照れ)コンサートは続き、終了したのは午前1時だった。
さすが南欧である。




昼間のカルロス宮殿もまるで薄紅色の薔薇のように美しい...





Palacio de Carlos V (La Alhambra)

Orchestre Philharmonique de Monte-Carlo
Martha Argerich, piano
Charles Dutoit, conductor

Maurice Ravel
Le tombeau de Couperin
Piano Concerto in G major

Piotr Ilich Tchaikovski
Symphony No. 4 in F minor, Op. 36
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