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図書館という宇宙、その香り




図書館や本屋の匂いが好きな人、挙手。

アッシュールバニパルの図書館(紀元前7世紀、現ニネヴェ・現イラク)や、アレクサンドリアの図書館(紀元前3世紀、現エジプト)。

ボルヘスのバベルの図書館や、それをオマージュしたエーコの迷宮図書館。

世界各地にある、あるいは大学付属の、いとも美しい図書館。
例えばこちらでhttps://www.theguardian.com/artanddesign/gallery/2018/jul/31/libraries-world-most-beautiful-in-pictures

ハリー・ポッターでモデルになったポルトの本屋や、パリのアーケードにある本屋、大学街の古本屋、近所の、駅前の本屋。

個人的には、神戸元町の今はなき海運堂や、三宮のジュンク堂書店、昔々、阪急御影の駅前にあった小さい本屋をも思い出す。


本屋に入ると便意をもよおす現象は「青木まりこ現象」として名高い。
図書館や本屋のあのめくるめく香りの正体はなんなんでしょうね...

小さい子供は、本屋以外にも玩具屋などで便意を催しがちであるので、そういう子供を育てた経験からして、ワクワク感の急激な増幅と、ワクワク感を誘ってくる品物の数が多すぎるがために逆に渇望を感じる(遊んでいる時間が足りない! というあせり)ことや、「印刷物の匂い」が、脳の中で「便意」と隣接しているのでは...と思っている(笑)。


新しい紙とインクの、古紙の、ほこりの、木材の、塗料の、カビの、匂い。

この字面を見ているだけでトイレを連想したあなたは重症ですよ(笑)。

上の写真は、その名も「図書館」という名のルーム・キャンドル。
本屋の匂いそのままではないので安心して。

いわば、古代図書館はこういう香りだったのでは? という感じの、豊かで沈殿するような、知的にセクシーな、そんな香りである。


クリスマス前には、わたしはとにかく「神殿」の香りが大好きなのだと力説したのだったが、神殿で焚き上げる香、生花、書物の匂い、閉じられたまま100年が過ぎた小部屋のカビの香、木材、などのミックスがとても好きだ(便意はもよおしません)。

カビの香りが好きというのも、考えてみたら変な人である。
至聖所、ディアコニコンのような聖具をしまう奥の一角や小部屋、カタコンベなどのカビ臭い匂い、といえばいいのか。
締め切った書庫や、古本屋、古い和紙と墨、換気の悪い美術館などからも同じような匂いがするのである。

内側に奥深く、外側に広く無限に広がる宇宙、書庫。
そういえば神殿も同じ機能を持っているのだ。




「古代の図書館」リストに含まれる図書館の中でも三大に数えられる、元トルコ、エフェソス、ケルスス図書館。象徴的。館の向こうに宇宙が透けて見える。
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