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Brugge Style
谷間の百合・トゥール
マンテーニャの2枚のテンペラ画(聖ゼノ祭壇画の一部)を収蔵するトゥール美術館が昨日再開した。
トゥールはフランスの国土のちょうど真ん中あたりに位置する。
古城が80はあるというロワール川沿いにある街で、バルザックやジャン・フーケの出身地だ。
なるほど、『谷間の百合』はロワール沿いの土地のイメージ(田園生活風景by人間喜劇)で描かれたのだなとしみじみ感じる。
8世紀、フランク王国とウマイヤ朝の間で起こったトゥール・ポワチエの戦いの地でもある。
イベリア半島の西ゴート王国を征服していたイスラム政権が、フランク王国の内戦に乗じて攻め入って来、メロヴィング朝の宰相のカール・マルテルが防衛した。すごいスケール。
(街の広場の中世の建物の像の顔がどれも削がれているのは、この時に攻めて来た偶像を否定するイスラム軍の仕業かと思った!)
ゆったりした田園を背景にしつつ、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼の中継地でもあり、ロワール産のワインはロワール川を船で運ばれ、ルイ11世の首都でもあった...昔から東西の往来が盛んな土地柄だったのだろう。
マンテーニャの『オリーヴ山の祈り』Agony in the Garden(1457–59)と『復活』The resurrection(1459)、この辺りまでは兄弟徒弟であったベリーニと作風が似ているが、それでもそれぞれが独自の作風へ向かっており、興味深い。
祭壇画の上部はイタリア・ヴェローナの聖ゼノ大聖堂に残っており、下部プレデラは2枚がこのトゥール美術館に、真ん中の1枚がルーヴルにある。
トーゥール美術館には真ん中の『磔刑』The Crucifixionとして、なんとドガの模写作品が飾ってあり、マンテーニャもすばらしいが、こちらがすばらしい。
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