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Brugge Style
イギリス料理はまずい(断言)
昔から英国の飯はまずい、と言われる。
ええ、その通りです。
弁護のしようもありません。
近頃では、特に世界都市ロンドンでは、観光客も移民も多く、各国の美味しい料理が食べられ、スタンダードは高いとかいう話もよく聞く。
が、英国在住8年目で外食の機会が多いわたしに言わせれば、「当社比」「なぐさめ」だと思う。
おいしいものが食べたいのなら迷わず海峡を渡って大陸に行くべき!
ところで、ご覧ください、このポーターハウス。
熟成してあり、うっとりするほど美しいテクスチャーをしている。
牛脂の香りがすばらしいステーキだった。
英国でも、食材自体が悪いかと問われたらそういうわけでは決してない。ヴィクトリア期、産業革命の頃はそうだったみたいですけど...
特にうちの近所の多くの村では、有難いことに個人経営の肉屋がわりに残っていて、値は張るが、生産者の顔が見えるエクスクルーシブなオーガニックものなどレベルの高い食材が手に入る。
つまり英国料理がまずいのは、火を通しすぎ、調味料を使わなさすぎ、そして下処理のまずさ(肉や魚を水の中に放置して3日間、風味が抜けてから料理、みたいなのはなぜ?)、外食の習慣があまりなく、人々が料理方法に関して保守的であることなどが原因なのだろう。
日曜日に大きな塊肉を焼き(サンデー・ロースト)その肉を1週間で食べきる、今もその習慣を守る家庭は少なくともサリー地方の裕福な家庭には多い。
うちに来る行儀のいいお客さんは「和食が大好き」などと称賛してはくれるが、それがどこまで本当なのか。
つい最近、娘の友達が、実はにんにくやしょうがなどの刺激物、香辛料、香りの強い野菜、酢、甘辛いソースそれらがぜんぶダメだということを知ったばかり...
(それにくらべたら日本や香港の人はなんでも食べてくれるので楽!)
スーパーマーケットのチーズやハム、パンやマヨネーズに味がなく、塩にさえ味がないのはなぜだろう? コーヒーやワインが全く物足りないのはなぜだろう?
こういうものを食べ続けていると、比喩ではなくて、ほんとうに味覚がおかしくなってくる。脳みそが期待している味がしないのが続くと脳(味覚)はほんとうに狂ってくる。実感として怖いですよ、ほんとうに。
英国の食文化が貧しい理由としては、
英国が伝統的に核家族であること(子供に文化資本を伝えられない)
ロンドンは他の都市に比べてかなり早い時期(16世紀)あたりから都市化し、地方から人を吸引したこと
さらに産業革命が急激に進んだため、キッチンもない家屋に多くの人が住んだこと
ヘンリー8世が教会、修道院を破壊したこと(教会システムは知の伝導システムでもあった)
などを思いつく。
......
ポーターハウスの話に戻る。
絶対に焼き加減はレア。わが家では全員ブルーも好む。
肉は半日以上室温もどし、焼き上げる時は必ずステーキ用の温度計を使う。
翌日、牛脂と切れ端でガーリックライスが最高の公式ですね!
だから、もし英国に長期で滞在されることがあるなら、ぜひキッチン付きの物件を借りて、高級住宅街にあるマーケットで材料を調達し(それでも外食より安くつくと思う)、自分でシンプルな料理をするのがいいかと思う。
焼いたおいしい肉とサラダとパン、チーズとデザートに果物...
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