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ルイス・キャロルの永遠の眠り




先日、サリー州はクランレイ村の「チェシャ猫」のいる教会を訪れた。
そのおり、チェシャ猫が登場する19世紀イングランドの名作『不思議な国のアリス』を著したルイス・キャロルの墓石を、日をあらためて見に行きたいと思った。
彼の墓は、クランレイから程近いギルフォード(ロンドンの南、電車で30分の距離)の丘の上にあるというのである。


『不思議な国のアリス』を知らない人はいないだろう。

数学者、論理学者、写真家、作家、詩人であったルイス・キャロル(はペンネームで、本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン Charles Lutwidge Dodgson )はオックスフォードで数学を教えた。
学寮長として赴任してきたヘンリー・リデル家の三人娘と友人とのピクニックの最中に『不思議な国のアリス』を着想、口頭で物語ったこのナンセンスと言葉遊びにあふれる愉快なストーリーをのちに本にまとめて出版したのである。

インフルエンザが原因の肺炎で彼が死亡したのは65歳のとき。サリー州ギルフォードの姉妹の家に滞在中であった。




正直、墓標には『不思議な国のアリス』のすばらしき非・意味性やナンセンス、遊びがあるのでは、と手前勝手な期待をしていたのである。
が、しかし、ヴィクトリアンのイングランド人らしい墓標だった。
彼自身が墓標を指定できない突然の死だったのかしら、それともキリスト教徒の墓標とはこういうものなのだろうか。


Thy Will Be Done
Where I Am There Shall Also My Servant Be
Rev. Charles Lutwidge Dodgson
(Lewis Carroll)
Fell Asleep Jan. 14, 1898
Aged 65 Years
His Servants Shall Serve Him
Father In Thy Gracious Keeping, Leave We Now Thy Servant Sleeping

みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように (マタイによる福音書 6:10)

私に仕えようとする者は、私に従え。そうすれば私のいるところに、私に仕える者もいることになる。私に仕える者がいれば、父はその人を大切にしてくださる。(ヨハネによる福音書12−26 「私」はキリストのこと)

父よ、あなたの慈しみの中、⁠今、あなたのしもべを眠らせましょう(聖歌Now the Laborer's Task Is Overより)




墓地をおもしろがって見に行くなんて、と思われるかもしれないが、こちらの墓地は静かな公園のような感じで、犬を散歩させたり、ベンチに座ってくつろぐ場所でもある。

墓の意匠や墓標は生者へのメッセージ、見られるためのものである。
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