マンション管理士日記

地域を守る:マンションと地域の融合

死なない団地

2006年06月26日 | マンション管理士

凄い雨です。 アーケードを通って来ました。 湿度が高く、なんだか水の中を歩いているような感覚に陥りました。

さて。 「バカの壁」 著者の養老孟司さん。 その続編とも言える 「死の壁」 に書かれた内容の一部を紹介します。

養老さんが、ある巨大団地の12階から棺を降ろすことになって。 棺をエレベーターに載せようとしたら、入りきれない。 階段で降りるにしても、12階では大変です。 結局、生きているとき同様に立って乗って頂くことにしたそうです。

つまり、棺を垂直に立てて載せて運んだわけです。 そのときに、「この建物は人が死ぬことを考慮していない」 と感じたそうです。

その後、当該団地を設計した人と話す機会を得たそうです。 この話をしてみました。 すると、「あそこ(当該団地)は、若い夫婦が郊外に一戸建てを買うまでの間住むところという想定で作ったのです。ある程度お金が貯まったら出ていくのです。」 そう言われたそうです。

ここからは養老さんの感想。

やはり、設計者は、そこで人が死ぬということを想定していなかったのです。 しかし、いくら若い夫婦が住むと言っても、何千人も住む団地で人が死なないはずはありません。

にもかかわらず、死を想定していない。 都市とは、人間が死ぬという自然の摂理を排除して作り上げたもの、人間が脳で考え形となって現れたもの…

そして、その巨大団地が 「自殺の名所」 といわれて飛び降り自殺をする人が絶えないというのは、一種の復讐のような行為と解釈することができないでしょうか? 一体、なんておかしなものを作ってくれたんだ、ということなのです…

私は、高層マンションでの子育てに疑問と不安を持っています。 この本を読んでみても、何か高層建物は危ないという感覚が強まります。