「江戸には、怪異の雨のみならず、人情の雨も降る」
これは、
時代小説における・定石であり、
江戸時代を
ぶたい(舞台)とする小説をよめば、
すぐ・わかります
とくに、「人情雨
」を ふらせる
作家
といったら、
やまもとしゅうごろう(かんじ:山本周五郎)
が
トップバッターで、
ひうん(悲運)に 見まわれた人や、
びんぼうくじを 引かされる人々を
だいたい・主人公に
しているため、
「雨に降られる」という・シチュエーションが、やたら・しっくりきます
<3作品を ご紹介します>
その1、映画にもなった
『雨あがる』。
これは、
人がよすぎて・士官もままならない
「剣の達人」の話で、
ふうふあい(夫婦愛)が すばらしく、
どくごかん(読後感)が、グ~(good)
また、たんぺん(短編)には
幼なじみとして 育ちながら、
主家と家臣という 身分のちがいにより
人生が 大きく枝分かれしてしまった
サムライたちの話、
『雨の山吹』
(切ないやつです・・)
町人物だと・・、「彫り物名人」の男が、
おのれの
しょくにんだましい(職人魂)
を
つらぬき通す
『しぐれ傘』。
などがあり・・
いずれも、作中では
雨が 効果的に ふっています
冷たい雨
に 打たれる日があれど
りん(凛)として
そこに立つ
いっこ(一個)の人々を 描く
それが、山本周五郎の 雨小説なのでした
(次回は、藤沢周平の雨小説、いきます)