あらすじ
からだは傷みを忘れない――たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。
「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。
「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまい――「竜舌蘭」
「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由は――「グリフィスの傷」
「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜ける――「まぶたの光」
……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。
読書備忘録
竜舌蘭 / 結露 / この世のすべての / 林檎のしるし / 指の記憶 / グリフィスの傷 / からたちの / 慈雨 / あおたん / まふたの光
「竜舌 / 蘭」その棘ってそんなにすごいんだ!その花の生命力!これに血まみれにされたけど、いじめで無視されて、沈黙に殺される中、目を背けようもない傷をつけてくれたことが嬉しかった。と・・・
「林檎のしるし」飲んでまっすぐ帰らない夫に治療に時間のかかる火傷を負わせれば、しばらくはまっすぐ家に帰って来る。湯たんぽを用意した妻は・・・そんなことないよね、オクモトさんの奥さんは!などと思ったわ。
「あおたん」仲良くしていたのは体中刺青の入っているあおたんのおっちゃん。美しい顔をわざと醜く整形した私は小学校時代担任に・・・くずです。それをおっちゃんが!おっちゃんの刺青の皮膚は亡くなった後すごい金額で引き取られた。
「まぶたの光」そうだったんだ。
生きていれば傷はいくらでもあるけれど、病院で治せない傷だって・・・自分で頑張って癒せるのって素敵だと思う。
★★★★☆
今朝は外に出た時に、あ!涼しい!
このまま秋になったくれたらと思う。けれど・・・
私にとって秋の花粉はやっかいです。
遠くに筑波山