本・久坂部羊 「人はどう老いるのか」

2025-02-21 06:00:00 | 図書館本 読書備忘録 

 作品紹介・あらすじ

「老い」と「死」は誰にとっても初体験。われわれは例外なく「初心者」である。
慌てふためかないためには、老いの現実を予習することだ。多くの死を看取ってきた医師で小説家の医師が、楽に老いるコツを本音で語る。安易な老い方本ではわからないアドバイスが満載。

「まえがき」より
老いればさまざまな面で、肉体的および機能的な劣化が進みます。目が見えにくくなり、耳が遠くなり、もの忘れがひどくなり、人の名前が出てこなくなり、指示代名詞ばかり口にするようになり、動きがノロくなって、鈍くさくなり、力がなくなり、ヨタヨタするようになります。(中略)
イヤなことばかり書きましたが、これが老いるということ、すなわち長生きということです。
にもかかわらず、長生きを求める人が多いのはなぜなのか。それは生物としての人間の本能であり、長生きをすればいいこともいっぱいあるからでしょう。
世の中にはそれを肯定する言説や情報があふれています。曰く、「八十歳からの幸福論」「すばらしき九十歳」「人生百年!」「いつまでも元気で自分らしく」「介護いらず医者いらず」等々。
そのことに私は危惧を深めます。そんな絵空事で安心していてよいのかと。
思い浮かぶのが、パスカルの言葉です。

我々は絶壁が見えないようにするため、何か目を遮るものを前方に置いた後、安心して絶壁のほうに走っているのである。

下手に老いて苦しんでいる人は、だいたい油断している人です。浮かれた情報に乗せられ、現実を見ずに明るく気楽で前向きな言葉を信じた人たちです。
上手に老いて穏やかにすごしている人は、ある種の達観を抱いています。決していつまでも元気を目指して頑張っている人ではありません。いつまでも元気にこだわると、いずれ敗北の憂き目を見るのは明らかです。
老いれば機能が劣化する分、あくせくすることが減ります。あくせくしても仕方がないし、それで得られることもたいしたものではないとわかりますから。そういう智恵が達観に通じるように思います。

多くの高齢者に接してきて、上手に楽に老いている人、下手に苦しく老いている人を見ていると、初体験の「老い」を失敗しない方法はあるような気がします。それをみなさんといっしょに見ていきたいと思います。

第一章 老いの不思議世界
第二章 手強い認知症高齢者たち
第三章 認知症にだけはなりたくない人へ
第四章 医療幻想は不幸のもと
第五章 新しいがんの対処法
第六章 「死」を先取りして考える
第七章 甘い誘惑の罠
第八章 これからどう老いればいい

               

 読書備忘録 

長生きをするというのは、すなわち老いるということで、老いればいつまでも元気ではいられないからです。

厚労省が勧めるがん検診は五つ、毎年まじめにうけていてもほかのがんになったら・・・さらには検査被爆の問題もあるそう。日本人のがん患者のうち三十人に一人は検査による被爆が原因と言われているそうです。

麻薬は怖いなどという思い込みで、がんの末期で痛みに苦しんでいる患者を我慢させるほど、愚かで残酷なことはありません。そう、私もまじかで見ていて本当にそう思いました。だって末期なんですもの。だから私もそうしてとお願いしています。

医師だったお父様の言葉・・・

「無為自然」=作為的なことはせず、自然に任せるのがいい。

「莫妄想(妄想するなかれ)」=不安や心配や迷いは妄想だからしないほうがいい。

「小欲知足」=欲を減らし、足るを知ることが苦しみを減らす。

こういう本をたくさん読んでいたとしても、じたばたするかもしれないけれど・・・と思いつつ、私は受け入れられるような気がする。

だってもう70年も大きな病気もせずに生きて来たのだから・・・ただ入院はイヤね。幽霊恐いから!と、どうかと思うようなことを言っております。

★★★★☆



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