内容紹介
『ことり』以来7年ぶりの、書き下ろし長編小説。 死んだ子どもたちの魂は、小箱の中で成長している。死者が運んでくれる幸せ。 世の淵で、冥福を祈る「おくりびと」を静謐に愛おしく描く傑作。
私の住む家は元幼稚園で、何もかもが小ぶりにできている。 講堂、給食室、保健室、人々の気持ちを慰める“安寧のための筆記室"もある。 私は郷土史資料館の学芸員であったバリトンさんの恋人から来る小さな文字の手紙を解読している。 従姉は息子を亡くしてから自分の人生を縮小した。 講堂にはガラスの小箱があり、亡くなった子どもたちの魂が成長している。 大人は自分の小さな子どもに会いに来て、冥福を祈るのだ。 “一人一人の音楽会"では密やかな音楽が奏でられる。 今日はいよいよあの子の結婚式で、元美容師さん、バリトンさん、クリーニング店の奥さん、虫歯屋さんが招待されている。
読書備忘録
カマキリ・・・小川洋子さんを読んでいます!と思いながら読んでいた。
ね、そうでしょ?
ともすれば、気味の悪いものをぶら下げ、時にはそれが赤ちゃんのたっぷりの唾液を吸い込んだおしゃぶりだったりして、さらにそれを口に含んだりして・・・話が進んでいくと、髪の毛の楽器も、そんな事当たり前に思えてきて、不思議の世界にどっぷりはまる。
バリトンさんへの思いに、そうでしょうとも・・・そして、あ!
作家が死んでも残る本ってそうたくさんはないのね・・・
静かに静かにお話は進んでいきます。
★★★★★