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3日目 今日は今回の山旅のメインへと進みます。
5時には小屋を出発するように言われていたので、3:00起床、4:52のご来光を山頂から拝んで出発です。
日の出を待つ登山者の姿を見るのが好きな私
事前天気予報では金曜日~土曜日は曇りで風が強い予報だったけど、
変わったらしく今日明日は無風の晴れマーク一色!いつもと逆、おかしいなぁ( ̄▽ ̄)?
気持のよい朝の空気の中、白馬山頂と剱岳に見送られ出発。
この稜線もお花が多くて、急がなきゃと思いながらも進めません・・・
これから歩く山がどれなのか?この段階ではまだわかっていませんでした。
手前の朝日があたっているのが鉢ヶ岳、その向こうが雪倉岳、その向こうは・・・・
山頂からはすぐに分岐の”三国境”到着
以前ここを通った時に気になっていた、あちら側へいよいよ進みます。
このルートは長くて辛いと聞いていたのですこし緊張します。
一旦入ったらもう短時間で抜けられるエスケープルートも
営業小屋もありません。
いつもなら雨の心配をする私ですが、今年は暑さとの戦いになりそうなので、
水は2.5リットル背負い、小屋泊なのにザックは13kg。
そこには初日から荷物が全然減らない理由があるのでした・・・( ̄▽ ̄)
歩きはじめは本当に気持ちの良い尾根歩き。
登山道脇にはまずコマクサ、そのあとは辺り一面タカネマツムシソウだらけ!
大好きなタカネマツムシソウがこんな広範囲に
この先も延々と咲く尾根歩きは初めてで、
もうここだけでも来てよかった~と思いました。
(斜面はカライトソウ・タカネトウチソウ・クルマユリ他)
鉢ヶ岳の山頂は巻いて一旦雪倉岳避難小屋まで下りますが、
まだ朝6:30だというのにもう日差しが痛くて我慢できず、
昨日もらったばかりの”山の日手拭い”を日よけに被ります。
こんな晴天が続く山行は、雨ガス女の私にとってはめったにない、
嬉しいような怖いような・・・少しならガスっていいよ?
目の前に見えるのが”雪倉岳”
日蔭がないので避難小屋まで一気に進みます
タカネナデシコ・イブキジャコウソウ・タカネマツムシソウ・ハクサンシャジン・ミヤマリンドウなど
ここから雪倉岳への登山道脇にもお花がずーーーっと咲いていました。
避難小屋の陰に隠れて一回目の休憩。
中もきれいな避難小屋でした。
雪倉岳へ向かって登る途中、なんと今日の目的地”朝日小屋”の赤い屋根が見えました。
わかっていたけど、まだまだ先
ということはあの巻道が水平道かな?遠眼で見ると水平に見えるけど・・・
そして偽ピークを過ぎて山頂に着くと
さっきまでいた白馬の稜線と、
遠く日本海まで見渡せる素晴らしい眺めが待っていました。
うーーーん、気持ち良い!
ここで二回目の休憩。すこしのんびりして小蓮華山~白馬大池の稜線を眺めていると、
ふと、眼下に赤い屋根を発見。
ん?位置的に栂池ではないよね・・・となると?もしかして蓮華温泉??
明日、あんな遠くまで下るの??
きょう目指すのはここからもっと日本海側へ北上するというのに???
・・・・・見なかったことにしよう(^_^;)
雪倉岳までは割と楽しく快調に進みましたが、ここからぐんぐん「まだ下るの?」
というくらい下って行きます。白馬岳山頂から朝日小屋までの標高差は800m。
ぐんぐん
ぐんぐん・・・
ぐんぐんぐん・・・
じりじりじりじり・・・あづっ!!!
灼熱の日差しは降り注ぎっぱなし、いつものガスも登場せず日蔭もなく無風・・・
下りなのにとにかく無口になるほど辛かった。
朝日方面から登ってくる方はさらに辛そうで、肩で息、滴り落ちる汗、
登り優先で譲るも、立ち止まって挨拶する気力もない感じの方がほとんど。
それは歩いてみて、皆さんの苦しさが理解できました(^_^;)
燕岩を過ぎたあたりで暑さでオーバーヒート気味になり、
急激に歩みがのろくなった。いよいよ持参したザックの重し・熱中症対策出動か!?
と思ったところに水場が!
脇目も振らずザックを投げ捨て、水場に駆け寄る。水場は木陰の中にあった。
キーンと冷たい水はまさに命の水、木陰で涼んで生き返った~~~
同じ時間帯に来た男性たちも「朦朧としてたから助かったね」と、みんなで ほっ。
(作戦その2:暑さに弱い私はこの山小屋もないトレイルで熱中症をおこしたらまずい、と思い、
出発の夜にテルモスの山専ボトル900mlに氷をめいっぱい詰め込んで持って歩いていました。
なんと下山日まで5日間氷のまま。一日一回だけ溶けた水を出しただけ。やるねぇ山専ボトル!)
お守りを出動させることなく、天然の冷たい水で生き返ることが出来ました。
(オヤマリンドウ・シナノオトギリ)
お腹も空いたのでここで今日も”畑のカレー”でエネルギー補給。
食後の”小桜ヶ原”からはしばらく木道のある緩やかな登りでクールダウン♪
朝日岳と水平道との分岐でキヌガサソウの群生(終わりかけ)に会えるとは!でテンションアップ♪
(ハクサンフウロ・ミソガワソワ)
も束の間、今日最後の難関「水平道」がすぐにやってきました。
地図にも書いてある通り、大きくアップダウンを3回ほど繰り返したでしょうか?
とにかく無風と地面から立ち上がる暑さ・降り注ぐ太陽がすごいので、
少しの木陰を見つけては水分補給、
炎天下では無言で歩みを進めました。
お花もたくさん咲いていましたが、撮る気持ちの余裕がありません。
滴り落ちる汗を拭いながら、木陰で地図を見ればあと1時間を切ったくらい?
よし!ビールが待っている!頑張ろう!
赤いザックの人が渡っている、ロープのある崩れかけの斜面をトラバース
今回唯一気を使う場所でした。残雪があったらいやなかんじ。
小屋がもうすぐなのはわかっているけど、沢を見たら寄らずにはいられない。
日照りにあった河童みたい(^_^;)
今回の為に髪を少し短くしたので、遠慮なく冷たい沢の水を頭からかぶります。
うー、冷たくて最高!生き返る!
これぞTHE・夏山
朝日小屋の赤いとんがり屋根が近くに見えた時はうれしかった。
朝日岳との合流地点、白い木道が天国への階段に見えるほど。
やっと着いた!
みんな同じことを思うようで、小屋に着くとハイタッチで到着を喜び合う。
山頂でもないのに不思議な達成感のある朝日小屋なのでした。
猿倉で「3時までに着かないとゆかりさんに怒られるからね。10時間みといてね」
と10時間かかると言われていたので端折りすぎたかな?
焦らずもう少しゆっくりお花の写真も撮れたかな?
と着いてしまえば思うけど、暑さでそれどころじゃなかったというのがホントのところ。
ザックを下ろしチェックイン
憧れの小屋と人
清水ゆかりさんにお会いできて良かった♪
小柄なのに身体からみなぎるオーラの凄い方でした♪
小屋に荷物を置いて、さっそく外で乾杯
朝日小屋は思ったほどの混雑はなく、布団一枚にひとりとゆったり
到着後はあんなに太陽にさらされていたのに2時間ほどガスってくれたので、
ちょうどクールダウンできた。
イワショウブ・カライトソウ・ミヤマアキノキリンソウ・ユキクラトウチソウ?
アカバナシモツケソウ・ウツボグサ・タカネアオヤギソウ
ヤマハハコ・タカネマツムシソウ・チングルマの果穂 など
テント場ものびのび広くて気持ちよい、水は蛇口から出ているし、
小屋の周りはお花畑になっていて、ここは本当に下界から隔離された楽園のようでした。
日本海側へサンダル履きでお散歩
雲海になって下は見えなかったけど、ほろ酔い気分の山の夕方、いい眺め
ここから夜、漁火が見えるとか?
しばらく眺めていたら小屋の前でゆかりさんの
「夕ご飯の時間ですよーー!」
と、みんなを呼ぶ大きな声がする。
しみじみと、ああ、いいな、こんな夕暮れ。
夏休み、遊びに夢中になった小学生をお母さんが呼ぶような。
ここでは小屋の人もテント場の人もみんな穏やかな笑顔
誰一人わがまま言ったり、文句を言ったり、和を乱すような人はいない。
むしろ、譲り合い、助け合うような、
なにか他の小屋とは違う空気感がある
それは小屋の主である清水ゆかりさんのお人柄と山に対する思いが、
はっきりと皆に伝わっているからかな
多分、ここに集う人はみんな心の中に
何時間も歩いてようやくたどり着く意味と
この小屋ならではの温かな心の触れあいに、
感謝の気持ちをもっている来ているからじゃないのかな?と感じました。
全員で乾杯したいから、と揃うまで待って
ゆかりさんの元気一杯な挨拶と号令で、見知らぬ同士、みんな一丸となって乾杯♪
郷土愛にあふれ、登山者の事を思う、愛情いっぱいの夕飯。
この一食が頂きたくて朝日小屋に来たかった。
念願かなって、本当によかった
食事はもちろん、今まで食べたことのないほど最高に美味しい山ごはんだった。
(夕食は食前酒のワイン・鶏の甘酢あんかけ・ホタルイカ沖漬け・富山おでん・昆布〆
山芋・茶そば・デザート栂海新道というネーミング)
(右下は翌日のお弁当・鱒の寿司とくるみ寿司)
夕ご飯のあと、また外に出てみると、ガスに隠れていた白馬岳の稜線が姿を現した。
なんて充実した一日だったのだろうか。
歩いてきた稜線を眺めていたら、あんなに暑く辛かった事などもう忘れてる
それよりも、こんな静かで美しい山の中に
三日も居れることが嬉しくて仕方なかった、帰りたくなかった。
※水場は3か所のうち”常水”と地図に書かれているところしか出ていませんでした。
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■行程■
白馬山荘4:35→白馬山頂4:50~5:10→三国境5:43→雪倉岳避難小屋7:15~7:30→雪倉岳8:06~8:15
→燕岩10:10→水場10:30~11:00(ランチ)→水平道分岐11:20→朝日小屋13:10