5連休の前半3日を使って、南アルプス・塩見岳に登ってきた。
アタック日の20日は雲ひとつない快晴が終日続き、日本の3000m峰の
ほとんどが見渡せた。
実は今回の山行は、ダブルの記念登山であった。
途中に踏む本谷山が、生涯通算600ピークの踏破となり、塩見岳は日本の
3000m峰の完全踏破となるのだ。
なお、「のべ」踏破ピークは、調べたら既に先日の信貴山で900ピークを
数えていたことが、山行後にデータを整理して判明した。
この記念山行につきあってくれたのが、桑名在住のT中夫妻と、
おなじみのN尾クン、T橋クンである。
車を鳥倉林道のゲート前に駐車。既に駐車場は満車で、やむを得ず路肩の
広くなったところに停めた。けっこう、たくさんの人が入っているようだ。
早朝に奈良を発ったとはいえ、時間はもう13時半。
三伏峠小屋に入るのは17時を覚悟した。
しばらく舗装林道を歩く。垂直の岸壁や、ヤマブドウ、サルナシなど秋の実り、
ヤマハハコ、フジアザミ等の花々を見つけながら楽しく歩けた。
登山口からは針葉樹の植林の中。コルに出て稜線の北側を巻きながら
どんどん登っていく。苔むした林床が、大峰や屋久島を思わせる。
高さを稼いでいくと、目指す塩見岳が顔を覗かせた。
地図のコースタイムより早く、3時間ほどで今日の宿、三伏峠小屋に着く。
みんな、なかなかの健脚である。
別館の裏はテン場で、既にカラフルなテントで花盛り。
我々は軟弱なので小屋泊まりである。幸運にも、別館の半個室をあてがわれた。
狭いマットではあるが、ほぼ1畳のスペースで寝られる。う~ん、最高!
夕食は17時とのことで、先にビールで乾杯する暇もない。夕食時に一緒に乾杯。
夕日に染まる塩見岳がなんと美しいことか。
部屋に戻ってもう一杯というところで、日ごろの疲れか、N尾クンと
Mr.Dashは早々に眠りこけてしまった。
そもそも消灯時間が19:30というから、メチャ早いのだが。
翌朝(20日)。快晴である。今日は塩見岳への往復という旅程だ。
小屋の朝食はなんとAM4時。さすが長丁場を歩く南アルプスらしい。
日本にいて時差ぼけになりそう。
我々も、少しのんびりしたとはいえ、5:20に小屋を出る。
三伏山(2615m)は、すぐに着く。
中央アルプス、乗鞍岳、穂高連峰、そして北アルプスが北に尽きるまで
すべてが一望できた。
(写真は、帰路、順光となって塩見岳が映える三伏山の山頂。朝は逆光だ。)
ヘッ電がようやく不要になる時間帯。あらゆる景色が、一歩進むごとに自然色に
変わっていく。やがて塩見岳の右肩から朝日が昇ってきた。
一瞬、みんなの顔が赤く染まる。
そうこうしているうちに本谷山(2657.9m)。あっけなく、しかも地味なピークで
通算600峰の踏破達成である。全員で握手。
上高地の六百山で達成しようという思いもあったのだが、ここになってしまった。
登山道は、権右衛門山の南側を巻くように続いている。
しばらく水平道だったが、ようやく上り坂になったと思ったら塩見新道と合流。
そして、ちいさな塩見小屋に着いた。
ここは男性スタッフの影がなく、イキイキした女性スタッフが屋根に上がって布団を干したり、登山者に飲み物を売ったりしていた。
規模といい、女性が似合うかわいらしい小屋だ。
ここではトイレを借りる際、ポータブル便器に、小屋で買う袋をかける。
袋には吸収剤が入っていて、まるで利尻富士のトイレシステムのよう。
用済みの袋は空気を抜いて密閉し、小屋が引き取る。まとめてヘリで下ろすと
いうやり方である。なるほどねえ。
塩見岳は目前にそびえている。甲斐駒ほどではないが、岩の要塞のようだ。
高所恐怖症のT中マッシーさんは、「登りはまだしも、帰りがなぁ・・」と
言いながら不安げに登っている。
T中ノリカ奥さんは、相変わらず元気そのもので、躍動感あふれる登りっぷり。
そして、とうとう、3000m峰制覇の時はきた。
ピークハントにこだわっていたら、とっくに達成していたはずの記録。
しかし、沢登りに夢中になるわ、取材で同じ山に何度も登るようになるわで、
今日までずるずるきてしまった。
T中マッシーさんが、背負ってきた紙筒を広げた。
なんと、Mr.Dashの記念にと、登頂祝いのポスターを用意してくださったのだ。
いつも細やかな気遣いで、周囲の信頼を集めているT中マッシーさんらしい演出。
本当に、ありがとうございました。
でも、他の登山者の「うわー、すごい」なんていう声もあって、かなり照れくさかった。
ピークハントはやらないけけど、700峰に向けて、がんばります。
T中ノリカ奥さんは、最近クライミングにも目覚めて、山に夢中だが、
いよいよ我々のフィールドにお越しになる。ぜひ、よろしく。
N尾クン、T橋クン、いつも勝手な登山につきあってくれて、ありがとう。
君たちのおかけで、若いつもりでいられる。
君たちのおかげで、負けられないという気になって、がんばれる。
確かに経験ではMr.Dashはまだ負けないけれど、体力・筋力では
もう君たちにはかなわない。これからは、こっちが連れて行ってもらうように
なるだろうが、見捨てずによろしく。
感傷は尽きないが、360度の景色にも酔い痴れたい。
富士山がアップで迫る。主要な3000m峰は、ほとんど見渡せる。
時間に余裕があるので、山頂でコーヒーを沸かす。
絶景の中、コーヒーをすする。これがまた美味いこと。
後ろ髪を引かれるように山頂を辞したが、許されるならいつまでもいたかった。
下山は、往路をそのまま戻る。車移動の宿命だ。
三伏峠小屋に戻ると、T中マッシーさん提供、N尾クンとT橋クンが担いで
くれたワインで祝杯をくれた。
仲間っていいなぁ。
山をやってよかった。単独行でなく、パーティ登山志向でよかった。
この日は、小屋は昨日より人が減り、静かな夜を過ごした。
T橋クンは、寒い中、デジ一眼で星空を撮影していた。
明け方、オリオンが輝いていた。
日本最高所の峠からの星空もまた、美しかった。
アタック日の20日は雲ひとつない快晴が終日続き、日本の3000m峰の
ほとんどが見渡せた。
実は今回の山行は、ダブルの記念登山であった。
途中に踏む本谷山が、生涯通算600ピークの踏破となり、塩見岳は日本の
3000m峰の完全踏破となるのだ。
なお、「のべ」踏破ピークは、調べたら既に先日の信貴山で900ピークを
数えていたことが、山行後にデータを整理して判明した。
この記念山行につきあってくれたのが、桑名在住のT中夫妻と、
おなじみのN尾クン、T橋クンである。
車を鳥倉林道のゲート前に駐車。既に駐車場は満車で、やむを得ず路肩の
広くなったところに停めた。けっこう、たくさんの人が入っているようだ。
早朝に奈良を発ったとはいえ、時間はもう13時半。
三伏峠小屋に入るのは17時を覚悟した。
しばらく舗装林道を歩く。垂直の岸壁や、ヤマブドウ、サルナシなど秋の実り、
ヤマハハコ、フジアザミ等の花々を見つけながら楽しく歩けた。
登山口からは針葉樹の植林の中。コルに出て稜線の北側を巻きながら
どんどん登っていく。苔むした林床が、大峰や屋久島を思わせる。
高さを稼いでいくと、目指す塩見岳が顔を覗かせた。
地図のコースタイムより早く、3時間ほどで今日の宿、三伏峠小屋に着く。
みんな、なかなかの健脚である。
別館の裏はテン場で、既にカラフルなテントで花盛り。
我々は軟弱なので小屋泊まりである。幸運にも、別館の半個室をあてがわれた。
狭いマットではあるが、ほぼ1畳のスペースで寝られる。う~ん、最高!
夕食は17時とのことで、先にビールで乾杯する暇もない。夕食時に一緒に乾杯。
夕日に染まる塩見岳がなんと美しいことか。
部屋に戻ってもう一杯というところで、日ごろの疲れか、N尾クンと
Mr.Dashは早々に眠りこけてしまった。
そもそも消灯時間が19:30というから、メチャ早いのだが。
翌朝(20日)。快晴である。今日は塩見岳への往復という旅程だ。
小屋の朝食はなんとAM4時。さすが長丁場を歩く南アルプスらしい。
日本にいて時差ぼけになりそう。
我々も、少しのんびりしたとはいえ、5:20に小屋を出る。
三伏山(2615m)は、すぐに着く。
中央アルプス、乗鞍岳、穂高連峰、そして北アルプスが北に尽きるまで
すべてが一望できた。
(写真は、帰路、順光となって塩見岳が映える三伏山の山頂。朝は逆光だ。)
ヘッ電がようやく不要になる時間帯。あらゆる景色が、一歩進むごとに自然色に
変わっていく。やがて塩見岳の右肩から朝日が昇ってきた。
一瞬、みんなの顔が赤く染まる。
そうこうしているうちに本谷山(2657.9m)。あっけなく、しかも地味なピークで
通算600峰の踏破達成である。全員で握手。
上高地の六百山で達成しようという思いもあったのだが、ここになってしまった。
登山道は、権右衛門山の南側を巻くように続いている。
しばらく水平道だったが、ようやく上り坂になったと思ったら塩見新道と合流。
そして、ちいさな塩見小屋に着いた。
ここは男性スタッフの影がなく、イキイキした女性スタッフが屋根に上がって布団を干したり、登山者に飲み物を売ったりしていた。
規模といい、女性が似合うかわいらしい小屋だ。
ここではトイレを借りる際、ポータブル便器に、小屋で買う袋をかける。
袋には吸収剤が入っていて、まるで利尻富士のトイレシステムのよう。
用済みの袋は空気を抜いて密閉し、小屋が引き取る。まとめてヘリで下ろすと
いうやり方である。なるほどねえ。
塩見岳は目前にそびえている。甲斐駒ほどではないが、岩の要塞のようだ。
高所恐怖症のT中マッシーさんは、「登りはまだしも、帰りがなぁ・・」と
言いながら不安げに登っている。
T中ノリカ奥さんは、相変わらず元気そのもので、躍動感あふれる登りっぷり。
そして、とうとう、3000m峰制覇の時はきた。
ピークハントにこだわっていたら、とっくに達成していたはずの記録。
しかし、沢登りに夢中になるわ、取材で同じ山に何度も登るようになるわで、
今日までずるずるきてしまった。
T中マッシーさんが、背負ってきた紙筒を広げた。
なんと、Mr.Dashの記念にと、登頂祝いのポスターを用意してくださったのだ。
いつも細やかな気遣いで、周囲の信頼を集めているT中マッシーさんらしい演出。
本当に、ありがとうございました。
でも、他の登山者の「うわー、すごい」なんていう声もあって、かなり照れくさかった。
ピークハントはやらないけけど、700峰に向けて、がんばります。
T中ノリカ奥さんは、最近クライミングにも目覚めて、山に夢中だが、
いよいよ我々のフィールドにお越しになる。ぜひ、よろしく。
N尾クン、T橋クン、いつも勝手な登山につきあってくれて、ありがとう。
君たちのおかけで、若いつもりでいられる。
君たちのおかげで、負けられないという気になって、がんばれる。
確かに経験ではMr.Dashはまだ負けないけれど、体力・筋力では
もう君たちにはかなわない。これからは、こっちが連れて行ってもらうように
なるだろうが、見捨てずによろしく。
感傷は尽きないが、360度の景色にも酔い痴れたい。
富士山がアップで迫る。主要な3000m峰は、ほとんど見渡せる。
時間に余裕があるので、山頂でコーヒーを沸かす。
絶景の中、コーヒーをすする。これがまた美味いこと。
後ろ髪を引かれるように山頂を辞したが、許されるならいつまでもいたかった。
下山は、往路をそのまま戻る。車移動の宿命だ。
三伏峠小屋に戻ると、T中マッシーさん提供、N尾クンとT橋クンが担いで
くれたワインで祝杯をくれた。
仲間っていいなぁ。
山をやってよかった。単独行でなく、パーティ登山志向でよかった。
この日は、小屋は昨日より人が減り、静かな夜を過ごした。
T橋クンは、寒い中、デジ一眼で星空を撮影していた。
明け方、オリオンが輝いていた。
日本最高所の峠からの星空もまた、美しかった。