2月9日(土)は、奈良県で12年ぶりに積雪10cmを記録するほどの
大雪だった。しかしMr.Dashは朝早くに奈良を脱出しており、
この難をのがれていた。
避難先は信州である。確かに雪道で車が立ち往生しかけたので、
タイヤチェーンは装着したが、午後には乗鞍高原の「いがやスキー場」に
いた。
ともちゃん、元気者ふみちゃん、ゴッドマザーO坂さん、そしてこの冬、
ずっと行動を共にしている伸び盛りのN尾クンとの5人で、クロスカントリーの
練習だ。
そう、明日10日には上高地にクロカンツーリングを予定しているのだ。
スキー巧者のO坂さんは、なんの苦もなくクロカンを楽しんでいる。
去年スキー経験もほとんどないのに、初めてクロカンの板を履き、
苦しみぬいた元気者ふみちゃんは、先日の「ひるがの高原」でとうとうコツを
つかんだらしく、見違えるように成長している。
N尾クンも、有休までとって「びわこバレイ」でダウンヒルを特訓した成果が
出て、飛躍的に上達していた。これは、明日の上高地が楽しみだ。
心配なのは、ともちゃんが風邪気味なことだけだ。
この日は沢渡のホテルに宿泊し、豪華な料理に舌鼓を打ち、地ビールと
O坂さんの差し入れの赤ワインに酔った。
10日。近畿地方のパニックをよそに、上高地は快晴。宿のご主人に
釜トンネル入口まで送っていただき、まずはトンネルウォーク。
スノーシューツアーの観光バスが来ていて、ぞろぞろと熟年ハイカーが
降りてくる。冬の上高地は、いつの間にか秘境ではなくなっていた。
釜トンネルは、旧トンネル時代には2回ほど歩いたことがあるが、
新しくなってからは初めてだ。LEDヘッドランプやアイゼンまで用意して
きたのに、新トンネルは照明つきで、路面の凍結もほとんどない。
まったく、いきなり調子がズレるが、こういうこともあって、ハイカーも
激増したのだろう。
ともちゃんの歩調が著しく遅い。今日は距離的には長丁場。大丈夫かな。
引き返すかどうか、本人の闘志を確認したら、まだ燃えていたので
まずは安心。トンネル内でスキー板を持ってやる。自分の分と、2人分の
板をどう持てば、空身同然のハイカー達と同じスピードで歩けるか、
他人を引率するうえで、自分のトレーニングと実験も、こういう時に
しておきたい。
と、まぁ一瞬気負ったのだが、なんてことなく、1310mある釜トンネルを
出る。バス道は適度に新雪に覆われていて、嬉しくなる。抜けるような青空で、
心が洗われる。焼岳が真っ白な頂をみせている。
スノーシュー軍団の横をスキーでガシガシと抜いていく。えらい注目を
集めている。スキーは我々のほか、見当たらない。
「クロスカントリーだ」「テレマークだ」いろいろな声が聞こえた。
長い坂を懸命に登り、大正池にさしかかると、穂高連峰の峰々が前方に
出現する。振り返ると焼岳がいい感じ。思わず一眼のシャッターを切る。
過去2回の当ルートでのクロカンでは、いずれも天候に恵まれず、
晴れた空に雪の白が輝く穂高をここからこうして眺めるのは初めてだ。
他のメンバーも、思わず歓声をあげる。
バスターミナルで早めの昼食。スノーショベルでベンチを掘り起こし、
カップラーメンをすする。今日は全然寒くない。手袋を外しても平気だ。
以前、同じ時期にテントを張ったが、その際に凍傷になりかけた場所とは思えない。
小梨平では、かなり多くのテントが張られていた。この時期にこんなに賑わう
上高地は、初めてだ。最近ずっとこうだったのかな。
河童橋では、穂高連峰は稜線付近に雲がかかり、イマイチの眺め。
早々に、明神へ向かう。河原に近づいたころ、自分なりにタイムアップと
感じていた13:00になった。明神館まであとほんの少しだが、
あそこは特段の眺めも期待できない。ここで引き返そう。
ちょうど明神岳がドアップで、我々の視界に飛び込んできている。
その中腹に巨大な青い氷瀑を発見。あんなところに滝があったのか。
夏には気づかなかったな。
帰路、N尾クンを先頭に、河童橋まで引き返そう。
Mr.Dashとともちゃん、最後尾をゆっくり戻り始めていたら
突然、明神の右裏方向から、ドドーンという爆音が聞こえた。
雪崩に違いない。二人で顔を見合わせて青ざめた。
この程度のことは、この界隈では珍しいことではないのだろうが、
それにしても迫力満点。巻き込まれたら最後だ。
河童橋に戻ったら、穂高の眺めがさっきよりよくなっていた。
ひとり河原に下りて、橋上の仲間達を撮る。楽しそう。
橋を渡り、梓川の北側を歩く。六百山と霞沢岳がこんなに美しいもの
だったとは、新鮮な驚きだ。田代湿原からの穂高連峰や六百山は、
小田和正ではないが「ららら・嬉しくって、嬉しくって、言葉にできない」。
前回、ホワイトアウトして彷徨った大正池近辺。3度目の正直で、
「神河内(かみこうち)」の神様が微笑んでくれた。
バス道の長い下り坂を、スノーシュー連中の羨望の的の中、
軽やか?に滑り降り、釜トンネルへ。中の湯案内所に着いたのは
16時を回った、いい時間になっていた。
宿の主人に迎えに来て頂き、温泉風呂に入らせて頂く。
しかし、ホテルに連泊する経済力がなく、このまま松本市内の
ビジネスホテルに直行。そのホテル内に昨年末にオープンしたばかりの
イタリアンレストランで、売り物の「石釜ピザ」かぶりつく。
パスタも絶品だった。
ここで機嫌よくビールやカクテルを楽しんでいたら、酔いと疲れとが
一気に襲ってきて、Mr.Dashは部屋でダウン。深い深い眠りに落ちた。
ともちゃん薬が効いているからかもしれないが、元気を取り戻していると
いうのに。。。
おかげで、部屋での二次会は全く記憶になく、「真澄」の純米酒と
「ワサビ蒲鉾」にはとうとうありつけなかった。
酒に弱いのに、酒が好きなのは罪だあっ!
11日、松本城と開智小学校を車でサッと回って、ウチの会社の営業所の
横を通って塩尻へ。地酒・地ワインを買い込み、帰路についた。
長いドライブの末、いよいよ自宅に近づいたころ、激しい腹痛に襲われ、
最寄り駅のトイレに駆け込む。美食・美酒と低温の冷えからか、
本来太るべき栄養分はあっけなく腸内を素通りしていったのであった。
N尾クンとともちゃんが、愉快極まりないという表情で車を下りて待っていた。
最後はオチをつけないと気がすまない、大阪人・Mr.Dashである。
大雪だった。しかしMr.Dashは朝早くに奈良を脱出しており、
この難をのがれていた。
避難先は信州である。確かに雪道で車が立ち往生しかけたので、
タイヤチェーンは装着したが、午後には乗鞍高原の「いがやスキー場」に
いた。
ともちゃん、元気者ふみちゃん、ゴッドマザーO坂さん、そしてこの冬、
ずっと行動を共にしている伸び盛りのN尾クンとの5人で、クロスカントリーの
練習だ。
そう、明日10日には上高地にクロカンツーリングを予定しているのだ。
スキー巧者のO坂さんは、なんの苦もなくクロカンを楽しんでいる。
去年スキー経験もほとんどないのに、初めてクロカンの板を履き、
苦しみぬいた元気者ふみちゃんは、先日の「ひるがの高原」でとうとうコツを
つかんだらしく、見違えるように成長している。
N尾クンも、有休までとって「びわこバレイ」でダウンヒルを特訓した成果が
出て、飛躍的に上達していた。これは、明日の上高地が楽しみだ。
心配なのは、ともちゃんが風邪気味なことだけだ。
この日は沢渡のホテルに宿泊し、豪華な料理に舌鼓を打ち、地ビールと
O坂さんの差し入れの赤ワインに酔った。
10日。近畿地方のパニックをよそに、上高地は快晴。宿のご主人に
釜トンネル入口まで送っていただき、まずはトンネルウォーク。
スノーシューツアーの観光バスが来ていて、ぞろぞろと熟年ハイカーが
降りてくる。冬の上高地は、いつの間にか秘境ではなくなっていた。
釜トンネルは、旧トンネル時代には2回ほど歩いたことがあるが、
新しくなってからは初めてだ。LEDヘッドランプやアイゼンまで用意して
きたのに、新トンネルは照明つきで、路面の凍結もほとんどない。
まったく、いきなり調子がズレるが、こういうこともあって、ハイカーも
激増したのだろう。
ともちゃんの歩調が著しく遅い。今日は距離的には長丁場。大丈夫かな。
引き返すかどうか、本人の闘志を確認したら、まだ燃えていたので
まずは安心。トンネル内でスキー板を持ってやる。自分の分と、2人分の
板をどう持てば、空身同然のハイカー達と同じスピードで歩けるか、
他人を引率するうえで、自分のトレーニングと実験も、こういう時に
しておきたい。
と、まぁ一瞬気負ったのだが、なんてことなく、1310mある釜トンネルを
出る。バス道は適度に新雪に覆われていて、嬉しくなる。抜けるような青空で、
心が洗われる。焼岳が真っ白な頂をみせている。
スノーシュー軍団の横をスキーでガシガシと抜いていく。えらい注目を
集めている。スキーは我々のほか、見当たらない。
「クロスカントリーだ」「テレマークだ」いろいろな声が聞こえた。
長い坂を懸命に登り、大正池にさしかかると、穂高連峰の峰々が前方に
出現する。振り返ると焼岳がいい感じ。思わず一眼のシャッターを切る。
過去2回の当ルートでのクロカンでは、いずれも天候に恵まれず、
晴れた空に雪の白が輝く穂高をここからこうして眺めるのは初めてだ。
他のメンバーも、思わず歓声をあげる。
バスターミナルで早めの昼食。スノーショベルでベンチを掘り起こし、
カップラーメンをすする。今日は全然寒くない。手袋を外しても平気だ。
以前、同じ時期にテントを張ったが、その際に凍傷になりかけた場所とは思えない。
小梨平では、かなり多くのテントが張られていた。この時期にこんなに賑わう
上高地は、初めてだ。最近ずっとこうだったのかな。
河童橋では、穂高連峰は稜線付近に雲がかかり、イマイチの眺め。
早々に、明神へ向かう。河原に近づいたころ、自分なりにタイムアップと
感じていた13:00になった。明神館まであとほんの少しだが、
あそこは特段の眺めも期待できない。ここで引き返そう。
ちょうど明神岳がドアップで、我々の視界に飛び込んできている。
その中腹に巨大な青い氷瀑を発見。あんなところに滝があったのか。
夏には気づかなかったな。
帰路、N尾クンを先頭に、河童橋まで引き返そう。
Mr.Dashとともちゃん、最後尾をゆっくり戻り始めていたら
突然、明神の右裏方向から、ドドーンという爆音が聞こえた。
雪崩に違いない。二人で顔を見合わせて青ざめた。
この程度のことは、この界隈では珍しいことではないのだろうが、
それにしても迫力満点。巻き込まれたら最後だ。
河童橋に戻ったら、穂高の眺めがさっきよりよくなっていた。
ひとり河原に下りて、橋上の仲間達を撮る。楽しそう。
橋を渡り、梓川の北側を歩く。六百山と霞沢岳がこんなに美しいもの
だったとは、新鮮な驚きだ。田代湿原からの穂高連峰や六百山は、
小田和正ではないが「ららら・嬉しくって、嬉しくって、言葉にできない」。
前回、ホワイトアウトして彷徨った大正池近辺。3度目の正直で、
「神河内(かみこうち)」の神様が微笑んでくれた。
バス道の長い下り坂を、スノーシュー連中の羨望の的の中、
軽やか?に滑り降り、釜トンネルへ。中の湯案内所に着いたのは
16時を回った、いい時間になっていた。
宿の主人に迎えに来て頂き、温泉風呂に入らせて頂く。
しかし、ホテルに連泊する経済力がなく、このまま松本市内の
ビジネスホテルに直行。そのホテル内に昨年末にオープンしたばかりの
イタリアンレストランで、売り物の「石釜ピザ」かぶりつく。
パスタも絶品だった。
ここで機嫌よくビールやカクテルを楽しんでいたら、酔いと疲れとが
一気に襲ってきて、Mr.Dashは部屋でダウン。深い深い眠りに落ちた。
ともちゃん薬が効いているからかもしれないが、元気を取り戻していると
いうのに。。。
おかげで、部屋での二次会は全く記憶になく、「真澄」の純米酒と
「ワサビ蒲鉾」にはとうとうありつけなかった。
酒に弱いのに、酒が好きなのは罪だあっ!
11日、松本城と開智小学校を車でサッと回って、ウチの会社の営業所の
横を通って塩尻へ。地酒・地ワインを買い込み、帰路についた。
長いドライブの末、いよいよ自宅に近づいたころ、激しい腹痛に襲われ、
最寄り駅のトイレに駆け込む。美食・美酒と低温の冷えからか、
本来太るべき栄養分はあっけなく腸内を素通りしていったのであった。
N尾クンとともちゃんが、愉快極まりないという表情で車を下りて待っていた。
最後はオチをつけないと気がすまない、大阪人・Mr.Dashである。