Mr.Dashのぶろぐ館

奈良・大阪・日本アルプスの山々が大好きな、Mr.Dashのブログです。

2014年5月1日(木)~4日(日) グサグサの緩い雪を踏みつつ登る、春の北穂高岳

2014年05月05日 | 山登りの記録
■メイン写真
北穂小屋前からみた槍ヶ岳と大キレット

■今回のコース
5月1日(木)松本⇒(バス)⇒平湯(奈良組と合流)⇒アカンダナ駐車場⇒(バス)⇒上高地→徳沢園(泊)
5月2日(金)徳沢園→涸沢小屋(泊)
5月3日(土)涸沢小屋→北穂高岳→(往路を戻る)→涸沢小屋→上高地・西糸屋(泊)
5月4日(日)西糸屋→アカンダナ駐車場→平湯(温泉、奈良組と別れる)⇒(バス)⇒松本


今年のゴールデンウイーク休暇は、もともと奥穂高岳に行く計画を立てていたが、
どうも雪の状況が怪しいので北穂高岳にターゲットを変更した。



5月1日、単身赴任先の津田沼から船橋に出て、そこから特急あずさ3号に乗り、
一気に松本へ。

軽食を済ませ、11:05高山行の濃飛バスで12:30に平湯温泉着。
遠いようで、楽なものだ。
平湯で大阪・奈良からクルマで来たT橋クン、ノブちゃん、Y井氏、ともちゃんと
合流する。彼らはずいぶん早く着いたそうで、平湯バスターミナル3階の温泉に
入っていたという。松本は晴れていたのに、平湯は雨が降っていた。

アカンダナ駐車場にクルマを置いて、荷物を整えて上高地入り。
雨は降っていない。



今日のお宿はおなじみの氷壁の宿、徳沢園。
テントはまだそう多くない。



我々は小屋泊り。古い調度品が数多く飾られていて、お気に入りの宿だ。
この日は皆で軽く飲んで、明日の登頂を誓った。


5月2日、快晴!!



横尾では、吊橋の「塔」の部分に誰がどう取り付けたかカラビナが一つ。
そこからロープが架けられ、鯉のぼりが泳いでいた。



屏風岩を仰ぎつつ巻いていけば、目指す北穂高岳が姿を現す。
その白い三角形を目の当たりにすると登高欲を抑えられなくなる。



本谷橋に着く。この季節は橋は渡らず、そのまま雪に埋もれた涸沢を
忠実に詰め上がる。ここでアイゼンを装着し、ピッケルを携えた。



横尾本谷の出合を過ぎしばらく行ったところで、右からドーンという爆音が
とどろいた。北穂高本峰のある方向から雪崩である。肝を冷やす一瞬。
雪はかなり緩いので、これからも細心の注意を払わねば。



青い空にJの文字か、はたまたタツノオトシゴか。



涸沢小屋に着いたのは12:30を回っていた。12:00までに着いたなら
一気に北穂へ登ってしまうつもりだったが。メンバーはここまでで
かなり息が上がってしまっており、コースタイムを巻くことはムリ。

下山してくる人に聞けば、我々が登るべき北穂沢では、小規模な雪崩も
発生したという。この雪の状況を考えると午後になってからの登高は
リスクが大きすぎる。

結局、涸沢小屋に泊まることとし、小屋の衛星電話で北穂小屋に予約
取り消しの連絡を入れた。



テラスで昼食を摂り、のんぴりした時間を過ごしていると、涸沢ヒュッテに
ヘリコプターが舞い降り、人を載せて大急ぎで飛び立っていった。急病人か?



涸沢小屋では「岳(やま)」という大部屋をあてがわれた。
売店では漫画「岳(ガク)」の主人公が「カルピスぅ」と叫ぶ張り紙があった。
我々は夜、カルピスでなく燗酒を頼んだ。地酒「岩波」が出てきた。


5月3日、今日も快晴!! チャンスである。
朝、雪が締まっているうちに登り終えてしまいたい。

支度を整える。全員を集め、万一の際の装備を点検する。
50mザイルはT橋クン、トランシーバーはT橋クンとノブちゃん、
ビーコンはMr.Dash、ともちゃん、ノブちゃん、
ツェルトはY井氏が持つというように、リスクを分散させた。
全員がヘルメット、ハーネス装着の臨戦態勢だ。

他のパーティはノーヘルもあったし、ハーネス装着派は少数。
中には荷物を背負わず空身の人もいた。



登り始め。前穂北尾根を振り返る。このギザギザの稜線に憧れる。



北穂沢は、斜度30~40度ほどの急坂が続く。夏道は中盤にさしかかると
南稜に突き上げるが、この季節はひたすら沢筋を詰め、松濤のコルを目指す。



だいぶ登ってきたかな?



まだまだ先は長いが、雪は思っていたより硬い。



常念岳の美しい二等辺三角形。また君を観に来たよ!

Mr.DashとT橋クンが先に松濤のコルに到着。尖った松濤岩に
身を寄せて突風を避け、後続を待つ。



やがてヘトヘトになった3人が登り着く。5人揃って、最後の登りを
こなし、AM9:00過ぎ、念願の北穂高岳ピークに立つ。日本第9位、3106mの頂だ。



Mr.Dashにとっては6度目となる北穂だが、意外にも積雪期は初めて。
白く輝く360度のパノラマは、これまでとはまた違った美しさだ。



直下にある北穂小屋へは、写真のように雪を切り通し、階段が刻んであった。
北穂小屋は昔から可愛いスタッフが多いが、T橋クンはそれ目当てで早速アイゼンを
外し、小屋に入ってコーヒーを注文していた。果たして可愛いコがいたと
いうことで、めでたしめでたし。



さて、景色を堪能すれば、雪が緩まないうちに下山しなければならない。
往路を戻る。まだまだ登ってくる人も多い。
ラッキーなことに薄雲が広がり始め、直射日光が届かない。
日蔭が続けば、融雪のペースも遅くなる。
それでも雪質は朝のそれとは異なり、踏み抜きやすい。

ノブちゃんが転ぶ。危ない。ここで滑落したらしばらく止まらないぞ。
Mr.Dashが長めのシュリンゲをつなぎ合わせ、ノブちゃんを
アンザイレンした。初めはおっかなびっくりだったが、徐々に
急斜面の歩行に慣れていく。

中盤を少し過ぎたあたりでハプニングが発生。
遥か先を下りていたともちゃんが、プチ滑落したのが見えたのだ。
20mくらいか。くるくると回転しながら40度の斜面を滑り、何とか止まった。
思わず息を飲んだが、ノブちゃんをつないだままでは駆け下りることもできない。

一瞬、躊躇し、最悪の展開を覚悟した。しかしともちゃんは自力で立ち上がり、
何もなかったように歩き始めた。とりあえず、ほっとする。
ともちゃんの歩みは力強く、我々は涸沢小屋まで追いつけなかった。
幸運にもケガ一つなかったが、ひとつ間違えると大事故だった。

後で聞けば、先行するおっちゃんが、バテたのか突然ルート上で腰を下ろし、
行く手が塞がれてしまったのだが、彼はそこを動こうとしなかったため
仕方なく踏み跡のない横の雪面を巻こうとしたところ、滑ったという。
事故原因は思わぬところに潜んでいる。

どうにか全員無事に涸沢小屋に戻ることができ、遅めの昼食を摂る。
コショウをたっぷり振ったラーメンが美味かった。

ところで自分は気づかなかったが、この日、朝からこの近辺は群発地震が
起きており、涸沢では雪崩が誘発されたという。
確かに、前穂側に新しい雪崩の跡がついていた。

今日の涸沢は、登ってくる人たちが途切れない。
それぞれの小屋も、それなりに混雑することだろう。

横尾着15:00。上高地の西糸屋に、ともちゃんの知り合いのガイド仲間が
勤めており、今回はそこまでたどり着かねばならない。一応、到着が
遅くなることを電話連絡しておく。
そのうえで、Mr.DashとT橋クンの二人で、疲れた足に鞭打ち、
先にチェックインすることに。
17:15に西糸屋着。15分遅れでY井氏、さらに20分遅れでともちゃんと
ノブちゃんが無事到着。

西糸屋さんでは、知り合い氏の差し入れが待っていた。ラッキー。
夕食、風呂の後、皆で美味しく差し入れを頂く。
ともちゃんが売店で買った地ビール、日本酒も、あっという間に
胃袋に消えていった。

夜は引き続いての地震で3回も目が覚めた。なんとなく落ち着かない夜だった。


5月4日、今日も晴れ。



西穂~奥穂の稜線をバックに、西糸屋を撮る。



平湯でやっと汗臭い服から解放。温泉に入り、着替える。
松本行のバスを待っていたら、彩雲が現れた。
平湯に来るときは、このところ雨ばかりだったが、やっとご褒美があった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2014年4月26日(土) 湖北・己... | トップ | 2014年5月11日(日) 奥武蔵・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

山登りの記録」カテゴリの最新記事