2020年10月21日付の朝日新聞朝刊7面14版△に「税制改正、自民税調が議論 住宅ローン減税延長/デジタル投資優遇」という記事が掲載されています〔但し、見出しはインターネット版(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14665495.html)によるものです〕。
10月20日、非公式ながら自民党税制調査会の幹部会合が開かれ、税制改正大綱に向けて議論を開始したということです。
検討課題は多く、様々な意見、議論が出そうです。とくに新型コロナウイルス対策の意味も有する経済対策やデジタル化、中小企業の再編などが注目されるところです。
住宅ローン減税やエコカー減税の延長、固定資産税の軽減策(2021年が土地などの評価替えの年であるため)、デジタルトランスフォーメイションへの投資に対する優遇税制などが並びます。記事に書かれている「主な検討項目」を見る限りでは減税、負担軽減措置、非課税措置、優遇税制の延長や創設が多いようです。一方で「巨大IT企業を対象とした国際課税のあり方」も検討項目に並んでいます。
また、電子申告の推進(記事では「電子化の推進」)、税務手続における押印の廃止も検討項目にあげられています。
電子申告の推進と言えば、私がまだ大分大学教育福祉科学部の講師であった1998年か1999年、日本税務研究センターの電子申告に関する研究会へのお誘いを受けて「ドイツの電子申告制度」という論文を書いたことがあります(その後、税務弘報2001年1月号に「ドイツの電子申告制度における現状と課題」として掲載されました)。DATEV(Datenverarbeitungsorganisation des steuerberatenden Berufs in der Bundesrepublik Deutschland eG)方式およびELSTER(elektronische Steuererklärung)方式について記したのですが、日本ではあまり資料を入手することができないということで、インターネットでドイツのサイトを見て、ついにはドイツ連邦税理士会に手紙を書き、丁寧な御教示、さらに当時日本では入手しえなかった資料を送っていただいたことを、今でも覚えています。それから20年、日本でも電子申告制度が存在していますが、何処まで定着したのでしょうか。
ついでに記すならば、ドイツでは、1976年の公課法(Abgabenordnung)の制定当初から電子帳簿に関する規定がありました。