ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

公立大学化で偏差値UP?

2015年09月12日 12時55分23秒 | 受験・学校

 今日(2015年9月12日)の5時49分頃、東京湾を震源とする地震がありました。私が住んでいる川崎市高津区でも震度4を観測しましたが、マグニチュードは5.3でした。調布市では震度5弱を観測したとのことなので、もう少しマグニチュードが大きかったら、と思うと……。

 ※※※※※※※※※※

 さて、今日は京都の或る大学の話を記しておきます。おそらく朝日新聞の今日付朝刊京都版に掲載された記事ですが、インターネットでは今日の3時付で「京都)公立化検討効果?成美大の入試難易度上昇 福知山」(http://digital.asahi.com/articles/ASH985FJ0H98PLZB00Z.html)となっています。

 記事の見出しに登場する成美大学は、京都府の福知山市にあります。元々は短期大学であったそうですが、2000年に4年制大学へ改組しました。但し、短期大学部は存続していますから、実質的には4年制大学の新設を伴う改組ということでしょう。4年制のほうには経営情報学部(何故か上記朝日新聞記事では「地域経営学部」となっています)しかなく、その下にビジネスデザイン学科と医療福祉マネジメント学科があります。また、短期大学部は食物栄養専攻のみとなっており、平成28年度の募集を停止することが発表されています。なお、2000年には京都創成大学という名称であり、2010年に現在の名称に変わっています。

 いつからかがはっきりとわかりませんが、長らく定員割れが続いており、2010年度の大学基準協会による認証評価では不適合と判定されています(http://www.juaa.or.jp/images/accreditation/pdf/result/university/2010/seibi.pdf)。募集定員を減少させても定員割れが続いたようで、河合塾によるランキング評価では「ボーダー・フリー」となっていました。つまり、偏差値を設定しようにもできないということです。

 今年、福知山市議会が成美大学を公立化するための準備予算を議決しており、2016年度から福知山市立という形で公立大学になります。

 このような話は少なくありません。今年1月25日14時58分付で朝日新聞社が「地方私立大、『公立化』に活路 地方創生が追い風に」(http://digital.asahi.com/articles/ASH1M3DZNH1MTIPE00F.html)として報じているところによると、山口県の山陽小野田市にある山口東京理科大学、新潟県柏崎市にある新潟産業大学が、公立化への動きを見せています。いずれもいわゆる公私協力型で、私立大学ではあるが資金面で地方自治体が協力を行った大学です。また、やはり公立化への動きがあると言われる長野大学のように公設民営型と言える所もあります。

 実際に公立化した大学もあります。高知県香美市にある高知工科大学は2009年に、沖縄県名護市にある名桜大学は2010年に、新潟県長岡市にある長岡造形大学は2014年に公立化しました。高知工科大学は公立化してから志願者数または受験者数が増え、定員割れを起こすことはなくなったようです。

 成美大学についても、公立化による人気度上昇を目指すようです。福知山市が資金面で協力していたという事情があるものと思われますが、北近畿と言われる京都府北部・兵庫県北部には成美大学の他に4年制の私立大学がなく、他には兵庫県豊岡市に近畿大学豊岡短期大学がある程度ですので(あとは京都大学舞鶴水産試験所)、「地方創生」が追い風となっているのかもしれません。

 公立化のアナウンス効果が実際にどの程度まであるのかは不明ですが、河合塾が分析したところによれば、入試難易予想ランクは上がっているようです。「地域経営学部地域経営学科」(経営情報学部ビジネスデザイン学科のことでしょう)では「ボーダー・フリー」から45へ、医療福祉マネジメント学科では42.5になったというのです。なお、「地域経営学科」と同じランクに京都産業大学、大阪経済大学など(学部などの詳細は不明)があります。

 劇的な変化とまでは言えなくとも、多少の効果はあったということでしょう。首都圏、京阪神など、名門私立大学が多い地域を除けば、やはり国公立のほうが私立よりも世間的な評価が高く(しかも一般的には学費が安い)、公立化は一つの手とも言えるでしょう。

 但し、どこの地域でも通用する話とは思えません。一地域または一都道府県における大学の分布状況、学部・学科の設置状況が鍵となりますし、人口も重要な考慮要素です。今日付の朝日新聞記事によると、福知山市は、成美大学→福知山公立大学(仮称)を現在の1学部2学科体制で、入学定員を50名として始めるそうですが、5年目に入学定員を4倍の200人まで増やす方向で検討しているようです。しかし、これについては慎重に構える必要があるでしょう。5年で4倍というのは、今日付の朝日新聞記事の表現を借りるならば「目指す」程度であるとしても、設定すべき目標としては高すぎます。このような数字を出すこと自体が悪いとは言いませんが、あくまでも最終目標であり、より現実的に、たとえば5年で1.5倍というように設定しておき、そこに向かって努力するというのが妥当なところでしょう。大学を含め、教育機関にはそれなりの費用が必要となるからです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« どん亭高津店が9月25日に閉店! | トップ | 東急大井町線途中下車(14)... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

受験・学校」カテゴリの最新記事