ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

やはりそうなる 首都圏への転入超過

2024年01月31日 00時00分00秒 | 社会・経済

 共同通信社のサイトを見ていたら「やっぱりね」と思うような記事が掲載されていました。2024年1月30日17時20分付の「都の転入超過、23年は80%増 6万8千人、人口流出40道府県」(https://www.47news.jp/10461602.html)です。

 これは、総務省が公表した2023年の人口移動報告を扱った記事です。80%増という言葉が目に入ったのですが、2022年に38,023人の増、2023年に68,285人の増ということです。

 もう少し詳しく見ると、2023年に東京都に転入した人は454,133人、東京都から転出した人は385,848人です。前年比で転入がおよそ14,000人増えており、転出はおよそ16,000人減っています。

 COVID-19により、東京都への転入超過は鈍化していた訳ですが、一時的なものであったようです。或る意味でCOVID-19が東京一極集中を和らげ、むしろ東京都からの転出超過が見込まれていた節もあり、それを期待するような声もあったのですが、実際には神奈川県などへの転出に留まったようです。

 東京都の他に転入超過となったのは、上記記事に書かれているところによれば埼玉県、千葉県、神奈川県であるようです。逆に、転出超過となったのは40道府県です。首都圏を東京都、神奈川県、埼玉県および千葉県と定義すると、首都圏への転入超過は126,515人で27%増です。

 上記共同新聞社記事には、総務省担当者の分析として「コロナ禍が明け経済活動が活発化したほか、就職や進学に伴う若年層の東京への移動が増えた」と書かれているのですが、それだけでしょうか。昨年であったか、首都圏への転入超過が止まらない理由として、女性の就職機会が首都圏以外では少ないこと、また、女性の生活しやすさ(生きやすさという感じの言葉であったかもしれません)が首都圏以外の場所で低いことなどが書かれた記事があったと記憶しています。また、別の観点ですが、村社会あるいは村意識が強い地域があまりに多く、他所者を排除するような意識が強いためにせっかくの転入者も追い出されてしまうような所もあるそうで、これでは道府県や市町村がいくらUターンだのIターンだのと宣伝しても意味がなく、せいぜいふるさと納税を強化するしかない訳です。

 世間では、そして学者でも、私のようにふるさと納税を批判する人は少ないようで、私のような人間は叩かれるのが落ちなのでしょうが、それではふるさと納税を強化している道府県や市町村の人口がどうなっているのか、と問いたくなります。総務省はわかっているはずですね。

 また、ふるさと納税で集まった寄附金は、一体どのような支出に向けられているのでしょうか。この辺りのことが全くわからないという地方自治体は少なくないはずです。

 脱線したので元に戻りますと、一極集中の理由は一つや二つではなく、多数が複雑に層を重ねているはずです。一つ言えると思われることは、モータリゼイションが進んだ地域では転出超過になりやすいであろうということです。身近にも、モータリゼイションが進んだ地域から首都圏にやってきて、自家用車を運転しなくなった人がいます。理由を聞くと、ちょっとした買い物なら徒歩か自転車で行けるし、少し離れた場所なら電車やバスで行けて便利であるから、ということでした。

 ※※※※※※※※※※

 実は今回、共同通信社のサイトに2024年1月30日の13時17分付で掲載された「八つの赤字区間検証、3年先送り JR北海道、コロナ禍の影響で」(https://www.47news.jp/10461202.html)という記事を取り上げようかとも考えたのですが、首都圏への転入超過のほうを選びました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東急5000系5113F | トップ | 梶が谷保線区 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会・経済」カテゴリの最新記事