今年度は「現代社会と法」(1年生)ではなく、「基本法学概論」(2年生Cクラス)を担当します。
早速、第1回目の小テストを実施しました。ここで一部を載せておきましょう。皆様も解いてみてください。
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Ⅲ 次の文章を読み、( ① )~( ⑤ )に適切な語句を入れなさい。なお、略語は不可とする。
昨年12月に行われた( ① )議員選挙では最大で2.43倍の「一票の( ② )」があり、憲法に違反するとして各地で訴訟が提起された。3月6日に東京( ③ )裁判所から違憲判決(事情判決)が出されたのを皮切りに、多くの( ③ )裁判所から違憲(14件)または違憲状態(2件)という内容の判決が出された。中でも、3月25日の広島( ③ )裁判所の判決、および翌日の広島( ③ )裁判所岡山支部の判決は、この選挙を違憲かつ無効であると判断するものであり、衝撃を与えた。広島県選挙管理委員会は、3月29日に( ④ )へ上告する方針を固めており、( ④ )大法廷がいかなる判断を下すのかが注目される。ちなみに、選挙区や議員定数などを定める法律は( ⑤ )である。
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「現代社会と法」などの講義の内容に関わる設問でもあり、時事問題でもあります。3月、新聞、ネットなどで大きく報じられ、論じられた問題でしたが、意外に出来がよくなかったという印象を受けました。
( ① )の正答は「衆議院」ですが、ただ「衆」としか記されていない答案が目立ちました。「衆議員」という表現は、厳密にみて正しいものと言えませんので、不正解としています。また、「小選挙区」と記されている答案もありまして、全くの不正解とも言えないのですが、「小選挙区議員」という表現となるとどうなのか、と言われるでしょう。衆議院議員選挙の定数配分は、小選挙区選出議員だけの問題ではないからです。
( ② )の正答は「格差」です。意味からすれば「較差」でもよいのですが(むしろこの表現のほうが厳密には正しいのでしょう)、一般的には「格差」が使われています。この問題について空欄の答案が何枚かありますが、これはまずいと思われます。
( ③ )の正答は「高等」ですが、「地方」と書かれた答案も多かったのでした。引っ掛け問題に近いのかもしれませんが、報道をしっかり読んでいればすぐにわかりますし、憲法の講義でもこの辺りのことには触れられるでしょう。それ以前に、広島地方裁判所に岡山支部があるとすれば岡山県に地方裁判所がないということになりかねないので、おかしいとわかるはずです。ちなみに、選挙関連の訴訟の第一審が地方裁判所でなく高等裁判所であることは、公職選挙法第203条(「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の効力に関する訴訟」)、同第204条(「衆議院議員又は参議院議員の選挙の効力に関する訴訟」)などに規定されています。
( ④ )の正答は「最高裁判所」です。
( ⑤ )の正答は「公職選挙法」です。これも憲法の講義などで扱われるでしょう。
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