ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

JR西日本の城端線と氷見線があいの風とやま鉄道に移管される さらに七尾線についても

2023年10月25日 14時30分00秒 | 社会・経済

 今回は(も?)、落語にたとえるならば枕が長くなります。

 1990年代、現在の北陸新幹線の高崎駅から長野駅までの区間が開業したことを機に、並行在来線をJRから分離する(但し、分離するか否かについてはJRグループ各社に選択権がある)という方針が政治的に決まりました。私は、これを耳にした当時から「在来線のネットワークをズタズタにしてどうするのか?」、「第三セクター鉄道に引き受けさせるとは最悪の選択ではないか?」、「一体どこまで地方公共団体に負担を押しつけようとするつもりか?」などと考えており、今も変わりません。というより、その思いは強くなっています。北陸新幹線の開業で信越本線は高崎駅から横川駅までの区間、篠ノ井駅から長野駅までの区間、直江津駅から新潟駅までの区間に分断されましたし(おまけに横川駅から軽井沢駅までの区間は廃止されました)、その関係でしなの鉄道も軽井沢駅から篠ノ井駅までの区間と長野駅から妙高高原駅までの区間とに分断されています。例えば屋代駅から北長野駅まで鉄道を利用するとなれば、しなの鉄道の屋代駅から篠ノ井駅までの運賃、JR東日本の篠ノ井駅から長野駅までの運賃、しなの鉄道の長野駅から北長野駅までの運賃が合算されることになってしまいます(実際には割引運賃の適用などもあるかもしれないなど、単純に合算される訳ではないかもしれませんが)。

 そればかりではありません。北陸新幹線の開業により、北陸本線、さらには北陸地方のJR西日本の在来線もズタズタにされ、不合理な路線網となりました。まず、北陸本線については、金沢駅から倶利伽羅駅までがIRいしかわ鉄道、倶利伽羅駅から市振駅までがあいの風とやま鉄道、市振駅から直江津駅までがえちごトキメキ鉄道日本海ひすいラインに分割されました。つまり、基本的には都道府県ごとに分割された訳です。それにもかかわらず、大糸線の南小谷駅から糸魚川駅までの区間、髙山本線の猪谷駅から富山駅までの区間、城端線の全線(高岡駅から城端駅まで)、氷見線の全線(高岡駅から氷見駅まで)、七尾線の全線(津幡駅から和倉温泉駅まで、と記しておきますが、ややこしいので後に取り上げます)はJR西日本の路線のままです。さらに、北陸新幹線の金沢駅から敦賀駅までが開業すると、北陸本線の金沢駅から大聖寺駅までの区間はIRいしかわ鉄道に、大聖寺駅から敦賀駅までの区間はハピラインふくいに移管されます。これによって北陸本線は米原駅から敦賀駅までの45.9kmという、およそ本線という名には似つかわしくない路線になってしまいますし、福井県にある越美北線(越前花堂駅から九頭竜湖駅まで)はJR西日本に残されたままとなります。

 このように見ると、大糸線はJR東日本の部分と、髙山本線はJR東海の部分と接続するものの、在来線のネットワークは分断されていることがわかります。しかも、七尾線は他のJR路線と接続しないために完全に孤立しています。同様の例としてはJR東日本の大湊線がありますが、現在のところはこの2例だけですし、2024年3月のダイヤ改正時からは越美北線も完全孤立路線に加わり、3例となります。もっとも、七尾線の列車は金沢駅から七尾駅または和倉温泉駅まで運行されますし、越美北線の列車は福井駅から九頭竜湖駅まで運行されますから、北陸新幹線に接続することにはなります。ただ、運賃はおそらく第三セクター鉄道とJR西日本の合算になるでしょうからかなり高くなるでしょう。また、七尾線と越美北線が完全孤立路線となることは、JR西日本の経営にとってもかなり非効率なものになるのではないでしょうか。

 ここから本題です。高岡駅を起点とする城端線と氷見線は、完全に孤立している訳ではないものの、他に接続するJR西日本の在来線がないことから、分断された状態にはなっています。北陸新幹線には新高岡駅があり、城端線と乗り換えることはできますが、氷見線を利用するには城端線に乗り、高岡駅に出て乗り換えなければなりません。高岡地区のこの2線がJR西日本の路線のまま残るというのも非効率であると考えるのは自然なことで、このままJR西日本の路線として残るのではなく、あいの風とやま鉄道に移管されるのではないかという話は、以前からありました(これについても後に取り上げます)。実際に、JR西日本も富山県もその方向で動いており、10月23日に、城端線および氷見線をJR西日本からあいの風とやま鉄道に移管することが(事実上)決定されました。朝日新聞社が、2023年10月24日の17時30分付で「富山のJR西2線、3セク移管へ 沿線自治体が受け入れた『条件』」(https://digital.asahi.com/articles/ASRBR7473RBRPISC00H.html)として報じています。

 富山県は、2023年7月に城端線および氷見線について再構築検討会を組織しており、この検討会には富山県知事、高岡市長、氷見市長、砺波市長、南砺市長、JR西日本金沢支社長およびあいの風とやま鉄道社長が出席していました。10月23日に第3回の再構築検討会が開かれており、移管について合意がなされました。移管の具体的な時期はこれから検討されるとのことですが、城端線と氷見線の直通化も検討課題であり、「国の『地域公共交通再構築事業』の補助を受けるため、実施計画を作る」とのことです。

 既に私は城端線および氷見線がJR西日本の路線のまま残るのが非効率であるという趣旨を書きましたが、上記朝日新聞社記事にも2020年1月に「JR西日本が、城端線・氷見線の次世代型路面電車(LRT)化などを検討するように富山県と沿線4市に提案」したと書かれています。富山ライトレールを経て富山地方鉄道の路線になった富山港線と同じような話になっています(実は、富山港線は国有化されるまで富山地方鉄道の路線でした)。JR西日本が両線についてサービス向上は難しいと判断したのも当然のことであったと思います。

 ただ、LRT化するのであれば高岡市と射水市に路線網を持つ第三セクター鉄道の万葉線に移管するという手も考えられなくはないはずである。このようにお考えの方もおられるかもしれません。しかし、現実的には無理な話です。

 第一に、城端線および氷見線は非電化路線であり、かつ、LRTなり路面電車なりが直通運転できるような構造になっていません。かつて札幌市交通局がディーゼルエンジンの車両を軌道線に走らせたことがありますから、万葉線にディーゼルカーを走らせること自体は可能でしょう。しかし、城端線および氷見線をLRT化するとなれば、両線に設けられている各駅の構造を大幅に改めなければならなくなり、莫大な費用がかかってしまいます。また、既存の駅の他に駅なり停留所なりを設けるかどうかも検討しなければならないでしょう。需要を考えると新駅や新停留所を設置する意味はないかもしれません。

 第二に、高岡駅は地上駅であって(駅舎は橋上駅であるとはいえ)高架化されていないので万葉線と城端線および氷見線との直通運転をするとなると駅を大改造しなければならなくなります。さりとて、現在の構造のままでは同じ会社なのに乗り場が違うということになって不便になります。

 第三に、万葉線の経営状態なども考慮しなければなりません。万葉線のサイトには損益に関する記事がなく、令和5年度版の鉄道要覧にもないのですが、2022年6月5日19時55分付の日本経済新聞「万葉線の22年3月期、営業赤字拡大 車両検査費増加」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC027XS0S2A600C2000000/)によると2022年3月期の単独決算で営業損益が2億1400万円の赤字、最終損益が54万円の赤字でした。2021年3月期の営業損益は1億1800万円の赤字、最終損益は466万円の赤字でしたから、補助金のおかげで最終損益は減ったものの、営業損益が拡大している点は気になります。これでは城端線および氷見線をLRT化したところで万葉線が引き受けられるとも思えませんし(出資者でもある高岡市および射水市が納得しないでしょう)、富山県全体の公共交通ネットワークという観点から見ても改善にはならないでしょう。

 第四に、万葉線の運転士などの数です。同社のサイトによれば、運行管理者が4人、運転士が19人、保守要員が8人、事業所要員が6人となっています。万葉線の全路線にとって十分な数であるかどうかは不明ですが、城端線および氷見線を引き受けるとすると増員が必要になります。電車と気動車では運転免許が異なりますし、城端線および氷見線を電化するならばそれなりに多額の費用がかかります。人と資金が十分でなければ話の意味がなくなります。

 第五に、これは小さな問題かもしれませんが、現在の万葉線の高岡軌道線と氷見線は競合しています。両線を万葉線に統合する場合には並存させる手もありますが、その場合には運行系統をどうするのかという問題も生じます。ちなみに、氷見線があいの風とやま鉄道に移管される場合でも、競合状態は続きます。

 その他に考えられうる点も合わせて、あいの風とやま鉄道に移管するということになったのでしょう。

 城端線と氷見線のLRT化については、2020年6月に富山県が「城端線・氷見線LRT化検討会」を設置しています。しかし、2023年6月、LRT化を断念するという結論が下されました。同時に「新型鉄道車両の導入方針を決定」したというのですが、これは新型の非電化路線用車両を導入するということのようです。ディーゼルエンジン車、ハイブリッド車、蓄電池電車などが考えられますが、どれになるのでしょうか。

 再構築検討会では、城端線および氷見線をJR西日本からあいの風とやま鉄道に「移管すれば、乗り換え客の料金面が改善することや、一体運営で合理的なダイヤを組め、県西部の交通ネットワークが向上するなどの意見がこれまで出ていた」とのことです。確かにその通りであるとは思います。しかし、私は、両線の直通運転よりも旧北陸本線の部分と城端線および氷見線との直通運転を行うほうが望ましいと考えています。例えば、富山駅から城端駅までの列車を運行する、あるいは富山駅から氷見駅までの列車を運行するほうが、あいの風とやま鉄道の利用者にとっても利便性が高まると思われるのです。北陸新幹線の富山駅には「かがやき」、「はくたか」および「つるぎ」の全列車が停車しますが、新高岡駅に停車する「かがやき」は非常に少ないので、とくに氷見線については富山駅からの直通列車が運行されるほうが沿線自治体の住民にとっても望ましいはずですし、能登半島東部の観光にも貢献することでしょう。

 JR西日本が移管に積極的であったのは当然として、あいの風とやま鉄道も移管には前向きであったようです。ただ、あいの風とやま鉄道は5つの前提条件を掲げていました。上記朝日新聞社記事を引用させていただきますと「①同社の現路線との経理を分離」、「②運転士や技術系要員を確保するため、JR社員の一定期間出向」、「③移管前にレールやまくら木、分岐器などの再整備」、「④券売機の整備のための財源確保」、「⑤両線を直通化するなら、JRの全面的な支援」です。①については「赤字も見込まれる城端線・氷見線の移管では、経理を別にしたうえで赤字補塡の保証を求めた」とのことですが、両線の直通運転のみにこだわっているとすれば疑問が残るところではあります。先に記したように、富山駅からの直通運転を行うほうがよいと考えるからです。今は需要がないと言われるかもしれませんが、需要は作るものでもあります。首都圏の総合直通運転の拡大をみれば明らかでしょう。富山市の軌道線の例もあります。ともあれ、再構築検討会において「大枠が了承され、ハードルを越えた」とのことです。なお、あいの風とやま鉄道は「2022年度決算で1100万円の黒字を純利益で計上しているが、営業損益は2億3200万円の赤字」で「県の経営安定基金や燃料高騰対策の補助で最終黒字を確保した形」であるとのことであり、「さらに現路線には経営安定基金があるが、移管後も安定するように、行政がどう関わるかなども課題だ」とされています。

 JR西日本が発表している「区間別平均通過人員および旅客運輸収入(2022年度)」によると、城端線の平均通過人員は2,481、同線の旅客運輸収入は2億4,800万円です。また、氷見線の平均通過人員は2,157で、同線の旅客運輸収入は1億4,000万円です。これだけでは営業係数などがわかりませんが、平均通過人員はいずれの路線で1987年度に比して半減というところです。あいの風とやま鉄道に移管されて平均通過人員および旅客運輸収入が増加するかどうかはわかりませんが、先に私が記したように、富山駅への直通運転を行うことによって改善の可能性は高くなるのではないでしょうか。城端線と氷見線との直通運転で話を終わらせるのではなく、旧北陸本線の部分との直通運転という形であいの風とやま鉄道の路線網全体を見渡してのダイヤ編成を行うことこそが、公共交通機関の維持・発展にむけて努力していると評価される(富山ライトレールの事例をみると公共交通機関の維持・発展について自己評価をしている)富山県らしい動きであると考えられます。

 但し、城端線および氷見線があいの風とやま鉄道の路線となれば、富山県でJR西日本の在来線は髙山本線のみとなります。富山駅で北陸新幹線と接続し、猪谷駅でJR東海が管轄する髙山本線と接続するとはいえ、JR西日本の在来線としては孤立します。いっそう、髙山本線を全てJR東海の路線とするほうがスッキリすると思うのですが、いかがでしょうか。

 さて、先程から保留状態になっている七尾線に話を移しましょう。実は、上記朝日新聞社記事を読んですぐに頭に浮かんだのが、城端線でも氷見線でもなく、現在のJR西日本の路線網で完全に孤立している七尾線であったのです。

 「隣同士の県なのに、こうも違うのか!」と思われされることは多々あります。公共交通機関に絞るならば、富山県と石川県はまさにその代表的な例でしょう。1989年、学部生であった私は富山県と石川県の双方を訪れましたが、公共交通機関による移動という点で富山県のほうが便利であると実感しました。とくに金沢市の場合、観光資源には恵まれているのに公共交通機関が貧弱で、金沢駅周辺以外は不便であることに驚かされました。金沢市の中心街である香林坊にはバスで行けますが、地元の人間であればともあれ、土地勘もないような者に複雑な路線バス網は厳しいものです。路面電車を使えば多くの観光地をまわることができる長崎市のような場所であれば、金沢市の観光地としての価値はさらに上昇していたことでしょう。

 富山県は、城端線と氷見線についての動きの他、現在は富山地方鉄道の路線となっている富山港線という好例が示すように、公共交通機関の維持に積極的です。先に記したように、富山港線は富山地方鉄道の路線であったものが国有化され、国鉄の路線となっていました。国鉄分割民営化によってJR西日本の路線となりましたが、赤字を抱え、運行本数も減らされていました。同線のLRT化は、実のところ、岡山県の吉備線とともにJR西日本が提案した話であるそうですが、富山港線については廃止の可能性も高く、それならば富山市が中心となって第三セクター鉄道として引き受けようということになり、富山ライトレールが誕生した訳です。富山市または当時の富山市長が自己評価するように成功であったのかどうかはわかりませんが、沿線の利便性が高まったことは事実でしょう。そして、2020年に富山ライトレールが富山地方鉄道に吸収合併されてから、富山港線は既存の富山地方鉄道富山軌道線と直通運転を行うようになり、利便性はさらに向上しています。富山地方鉄道も決して経営が楽な状態ではないと思うのですが、笹津線、射水線などを廃止したとはいえ、本線、立山線などの路線を維持しています。

 これに対し、隣の石川県は、公共交通機関の維持についてどのような姿勢を見せているのでしょうか。

 正直なところ、よくわかりません。富山市には現在も路面電車が走っており、富山港線との直通運転も行っているほどなのですが、金沢市には路面電車がありません。正確に記せば、北陸鉄道金沢市内線が1967年に全廃されてから、路面電車がないのです。それだけでなく、石川県のあちらこちらにあった北陸鉄道の鉄道路線は次々に廃止されており、現在では石川線と浅野川線しかありません。両線は接続していませんし、中心街を通りません。こうした状況において、石川県が公共交通機関の維持についてどのように取り組もうとしているのか、わからない部分もあるのです。

 城端線および氷見線がJR西日本からあいの風とやま鉄道に移管されるとなれば、北陸新幹線の敦賀延伸後には唯一のJR西日本の路線となる七尾線がどうなるのかは、非常に気になるところです。

 七尾線は、様々な意味において特徴がある路線でもあり、或る意味で厄介な路線でもあります(沿線の皆様にはお詫びを申し上げます)。

 第一に、七尾線は、北陸地方にあるJR西日本の在来線では唯一の直流電化路線です(かつては富山港線もそうでしたが)。直通先のIRいしかわ鉄道の路線は交流電化されていますし、起点の津幡駅の構内も交流電化されていますので、電車は交直流電車です。

 第二に、七尾線は、元々、津幡駅から輪島駅までの区間の路線でしたが、1991年に津幡駅から和倉温泉駅までの区間が直流電化された際に同区間がJR西日本の路線として残り、和倉温泉駅から輪島駅までの区間はのと鉄道七尾線になりました(2001年に穴水駅から輪島駅までの区間が廃止されました)。但し、のと鉄道七尾線の起点は七尾駅であるため、七尾駅から和倉温泉駅までの区間はJR西日本とのと鉄道との共同運行区間ということになります。鉄道事業法による事業者の区別によると、次の通りとなります。

 津幡駅〜七尾駅:JR西日本が第一種鉄道事業者。

 七尾駅〜和倉温泉駅:JR西日本が第一種鉄道事業者、のと鉄道が第二種鉄道事業者。

 第三に、のと鉄道七尾線の線路などの施設もJR西日本が保有しています。のと鉄道七尾線は、現在、七尾駅から穴水駅までの路線ですが、七尾駅〜和倉温泉駅については既に記した通りであり、残りの和倉温泉駅〜穴水駅についてはJR西日本が第三種鉄道事業者、のと鉄道が第二種鉄道事業者であるということになります。つまり、JR西日本が施設を保有しているという点で見るならば七尾線は津幡駅から穴水駅までの区間の路線であり、のと鉄道はJR西日本から線路施設を借りるような形で列車を走らせていることとなります。ちなみに、2005年に廃止された能登線についてはのと鉄道が第一種鉄道事業者でした。

 2022年度における七尾線の平均通過人員は3,428であり、城端線および氷見線よりは高い値を示しています(とはいえ、1987年度と比べれば低い数字です)。それでも、1980年代の国鉄改革で打ち出された基準に照らせば第3次特定地方交通線の水準であり、今後も平均通過人員の低下は続くと予想されます。

 現在のところ、JR西日本は七尾線について何の言及も行っていないようです。北陸新幹線の敦賀延伸によって七尾線が石川県で唯一のJR西日本の路線となるとしても、IRいしかわ鉄道の金沢駅からの直通運転は続けられると考えられますし、それが石川県の意思でもあるのであろうと推測できます。それで上手くいくのであれば、私が何かを書くべきことでもありません。

 ただ、今後、七尾線の平均通過人員が低下し続け、JR西日本からIRいしかわ鉄道、のと鉄道のいずれかに移管することも、考えておかなければならない未来でしょう。のと鉄道七尾線の線路施設などもJR西日本が保有していることからすれば、城端線および氷見線とは比較にならないほど複雑な問題ですが、JR西日本の経営効率を考えるならば、七尾線の将来は今から検討しておくべき課題であると言えます。

 北陸新幹線の敦賀延伸によってもう一つの孤立路線になる越美北線についても、JR西日本がどのような姿勢を見せるのかが注目されるところですが、現在のところはよくわかりません。ただ、越美北線の平均通過人員は2022年度で318と低く、ハピラインふくいへの移管どころか廃止の可能性すらあります。この路線の1987年度の平均通過人員は772でしたので、1980年代に特定地方交通線に指定されてもおかしくなかったのです。実際、1968年9月には赤字83線の一つともなっています。国鉄改革の際には第二次特定地方交通線に指定される可能性もあったのですが、代替輸送道路が冬期の積雪で1年につき10日以上も通行不能となることから存続となったという経緯があります。福井県、福井市および大野市が越美北線についてどのような姿勢を見せるのかが気になるところです。


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