先日、HMVの通販でHerbie Hancock Quartetを買いました。それから何度となく聴いています。
CDでは1枚のみですが、LPでは2枚組でした。1981年に東京で録音されており、CBSは1982年に発売しましたが、日本盤(CBSソニー)は1983年に発売されたはずです(故油井正一氏の解説には1983年と書かれていたと記憶しています)。
私は、幼少の頃からジャズを知っていましたが、中学校に入ってからジャズやフュージョンを聴き始めました。渡辺香津美さんの「トチカ」(溝口で買いました)から始まり、ウェザー・リポートなども聴いていましたが、1983年の或る日(まだ中学校2年生だった1月から3月までの間なのか、3年生になった4月以降なのかはわかりません)、溝口一丁目にあった川上楽器かどこかでLPを買いました。ほとんど何の知識もないままに、ただ、4ビートジャズらしいということ、当時、トランペットがウィントン・マルサリス、サックスがブランフォード・マルサリスというV. S. O. Pが活動していたことだけを知っていて、買ってみたという訳です。「カルテット」にはブランフォードが参加していませんので、トランペットのみのワンホーンということになります。
最初に聴いた瞬間に引き込まれてしまいました。1曲目の「ウェル・ユー・ニードント(Well You Needn't)」は、通常であればミディアム・テンポなのですが、このレコードの演奏はかなり速いもので、それだけに緊張感があります。しかも、曲によって速くなったり遅くなったりしても、緊張感は持続しています。私は5曲目(LPでは2枚目の1面の1曲目)の「ハリケーンの目(The Eye of the Hurricane)」、7曲目(LPでは2枚目の2面の1曲目)の「ソーサラー(The Sorchrer)」を特に好んで聴きますが、ロン・カーターのオリジナル曲である「パレード(Parade)」も、このアルバムの演奏が一番よいと思っていたりもします。また、「ハリケーンの目(The Eye of the Hurricane)」は、1960年代のブルーノートから出されたハンコックのアルバムにも収録されていますが、「カルテット」の演奏のほうに軍配が上がります。
もう故人となって久しいトニー・ウィリアムスのドラムは、まさに迫力満点、「ロックではこんな豊かなリズムを刻めまい」と、今でも思います。リーダーのハービー・ハンコックのピアノ、ロン・カーターのベース、ウィントンのトランペット……、どれをとっても文句なしの傑作です。しかも、次のアルバムが「ロックイット(Rock it)」を収録した「フューチャー・ショック(Future Shock)」です。あまりの触れ幅の大きさに驚かされました。しかし、「カルテット」の豊かさを存分に楽しんだ私は、「ロックイット」が意表を突くだけであまりにも貧相に聞こえたため、シングルを買っただけに終わりました。
中学生時代はフュージョンのほうをよく聴いていたのですが、「カルテット」を聴いてから、本格的に4ビートジャズに入り込むことになりました。その意味では思い入れのあるアルバムです。LPのほうも、何かにつけてよく聴いていましたが、LPプレイヤーの調子が悪くなっており(30年以上使っています)、CDでも買っておいたのです。
最後に、曲目を記しておきましょう。
1. Well You Needn't
2. 'Round Midnight
3. Clear Ways
4. A Quick Sketch
5. The Eye of the Hurricane
6. Parade
7. The Sorcerer
8. Pee Wee
9. I Fall in Love too Easily
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